映画『八月の声を運ぶ男』劇場公開決定、本木雅弘が被爆者の声を紡ぐ
映画『八月の声を運ぶ男』劇場公開決定、本木雅弘が被爆者の声を紡ぐ

「映画という新たな翼を得て飛び立つことを、大変うれしく思います」――NHKで戦後80年ドラマとして2025年8月に放送された『八月の声を運ぶ男』が、8月21日から全国のTOHOシネマズで公開されることが決定した(製作・配給:WOWOW)。長崎に暮らし、日本全国を渡り歩いて被爆者の声を集め続けたジャーナリスト・伊藤明彦さんの実話を基にした物語で、放送版では公開されなかったシーンを追加した映画版として届けられる。

被爆者の声を集め始める

NHKで戦後80年ドラマとして2025年8月に放送されると、第34回橋田賞、2025年8月度ギャラクシー賞月間賞を受賞。さらに、柴田監督が第76回芸術選奨放送部門文部科学大臣賞を受賞したほか、第52回放送文化基金賞ドラマ部門「奨励賞」、第63回ギャラクシー賞テレビ部門大賞にも輝き、大きな話題を呼んだ。

今回、放送版では公開されなかったシーンを追加し、登場人物たちの内面をより深く、立体的に描いた映画版として公開されることが決定。劇場公開にあわせ、予告映像も公開された。

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物語の舞台は高度経済成長期の日本

物語の舞台は、高度経済成長を遂げた1972年の日本。日本人の誰もが豊かさを追い求めていた時代に、長崎の放送局出身のジャーナリスト・辻原保(本木雅弘)は、その流れに逆らうかのように被爆者の声を集め始める。

しかし、当時はまだ原爆の記憶があまりにも生々しく、その悲惨な体験を語ろうとする者は少なかった。被爆者体験を記録することは、周囲からも理解されない孤独で過酷な作業だった。

1000人を超える被爆者の声を未来へ

そんな中、辻原は一人の被爆者・九野和平(阿部サダヲ)と運命的な出会いを果たす。九野が語る「声」に感銘を受け、心を激しく揺さぶられる辻原。しかし、その「声」は多くの謎にも満ちていた。

本作で描かれるのは、原爆が投下され、数十年が経ってもなお消えることのない戦争の記憶に翻弄された2人の男の数奇な出会い。失われていく被爆体験の記憶と、残されるべき言葉のはざまで、「伝える」とは何かを問いかける、静かで力強いヒューマンドラマとなっている。

劇場空間では、大スクリーンと5.1chサラウンドの音響環境で本作を体感できる。

「大きなうねりを生むべく懸命に演じました」

本木は、劇場公開決定にあたり、「このたび『八月の声を運ぶ男』が映画という新たな翼を得て飛び立つことを、大変うれしく思います」とコメント。

自身が演じた辻原のモデルとなった伊藤さんについて、「瞬く星空を見上げ、魂の声を集める覚悟を決めた伊藤さんは、数値化できない『被爆の実相』に考察を重ねました」と語る。

さらに、「読み人知らずの歌が現代にも響くのは、無名であってもその人間の息づかいが心を動かすからです。同じくこの肉声を、人類共有の財産として、被爆者体験を結晶化させることが、伊藤さんの密かなる野心です」とし、「私は、池端(俊策)先生のさりげなくも奥深い脚本に同様の野望を感じながら、大きなうねりを生むべく懸命に演じました」と振り返った。

そして、「一人でも多くの皆さんが劇場に集まり、切実な思いの灯火に心を寄せていただければ、天で見守る伊藤さんも少しは微笑んでくださるのかな…そんな思いです」とメッセージを寄せている。

編集部MEMO

本木雅弘は、1965年生まれ、埼玉県出身。俳優として映画・ドラマ・舞台など幅広く活動し、映画『おくりびと』では主演を務めた。近年も重厚な存在感で作品を支え、本作『八月の声を運ぶ男』では、被爆者の声を集め続けたジャーナリストをモデルにした辻原保を演じている。

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