兵庫県姫路市の姫路文学館で「司馬遼太郎メモリアルデー」が開かれ、直木賞作家の木内昇さんが「司馬遼太郎の描く幕末」と題して講演した。木内さんは「司馬文学のすごさは、それまで誰も扱わなかった人物を誰もが知るヒーローに仕立てた点だ」などと述べた。
木内昇さん、司馬文学の特徴を語る
出版社勤務を経て独立後にインタビュー誌「Spotting」を創刊し、平成16年に「新選組 幕末の青嵐(せいらん)」で小説家デビューした木内さん。中学生時代から司馬文学に親しみ、現在は司馬遼太郎記念財団が創設した「司馬遼太郎賞」の選考委員を務める。
今月7日に行われた講演で木内さんは、司馬が幕末を「日本の青春」と捉えていたと紹介。司馬が自身の作品に登場させた坂本龍馬や土方歳三らは「それまで取り上げられることのなかった人物」と指摘し、「司馬さんが描くと、欠陥のあるいびつな人物が誰からも愛される国民的ヒーローになった」と述べた。
女性の描き方にも言及
また、「司馬さんは女性の描き方も特徴的だった」と指摘。弱さ、はかなさではなく「強くカッコいい女性を描いたのは司馬さんが初めてではないか」とし、「今ではオーソドックスなイメージで捉えられがちだが、振り返ると旧来の常識を壊してきたのが司馬文学だ」と評価した。
姫路文学館と司馬遼太郎のゆかり
姫路文学館は、司馬の祖父が姫路の出身であることや、戦国時代の播州を舞台にした小説「播磨灘物語」を執筆するなどの当地とのゆかりから、館内に「司馬遼太郎記念室」を設置。司馬の誕生日に合わせ、毎年8月7日にメモリアルデーを開催している。



