山田五郎著『光の西洋絵画史』全5巻が、発売直後から注文が殺到している。7月14日に死去した著者の、図らずも最後の仕事の一つとなった。
聖書の名場面を時系列でたどる新シリーズ
本書は、西洋絵画の題材を軽妙な解説で紹介し好評を得た「闇の西洋絵画史」全10巻に続くシリーズ。悪魔や天使などのテーマを切り口にした前シリーズに対し、今回は「創世記・出エジプト記篇」から旧約・新約聖書の名場面をクロノロジカルにたどる。
担当編集者の坂上祐介さんによれば「聖書への理解がないと西洋絵画史の面白みが分かりづらいので、ド定番のものをやろう」と企画された。7月14日の発売後に即重版。著者の訃報も重なり注文が殺到した。
シリーズ累計17万部、著者のこだわり
1巻ずつ購入できるが5巻組みでの購入者が多数。「闇の-」からのシリーズ累計部数は17万部に達する。1巻に約60点掲載される作品は、中世の彩色写本から近代の前衛絵画まで幅広い。出版社側で準備した数百点もの候補から著者が自ら厳選したという。
創世記の逸話が中東紛争の一因になったことに触れるなど、現代社会に接続する鋭い示唆も与えている。坂上さんは「山田さんは最後まで『編集者』だった。隅々までご自身で書き下ろし、ラフを切り、見出しも考えた」と、著者の矜持が光るこだわりぶりを振り返る。
著者が考え続けた「人を楽しませる」すべが凝縮されている。(櫟原千寿帆)(創元社・5巻セット9900円)



