東京都新宿区に位置する目白聖公会の聖堂は、1918年に病院の建物を譲り受けて礼拝室とし、1929年に現在の聖堂が完成しました。都内にある30以上の聖公会の教会・礼拝堂の中で、唯一太平洋戦争の戦火を免れた貴重な建物です。
ロマネスク様式の建築美
聖堂は10世紀から12世紀にかけてヨーロッパで栄えたロマネスク様式を採用しています。柱と柱の間に架かる半円のアーチは、古代ローマ建築の影響を色濃く残しています。焦げ茶色の列柱と純白のアーチのコントラストが美しく、訪れる人々を魅了します。
聖堂の平面は長方形で、古代ローマの公会堂(バシリカ)の形式を踏襲しています。この形式は、初期キリスト教建築から受け継がれた伝統です。
19世紀のステンドグラス
聖堂内の2階には、1889年(明治22年)にイギリスの修道院から寄贈されたステンドグラスが掲げられています。全部で12枚あり、そのうち4枚にはイエスの母マリア、夫ヨセフ、幼子イエスを抱くシメオン、預言者アンナが描かれています。この「聖家族」の宮詣での場面は、レオナルド・ダ・ヴィンチやミケランジェロなどルネサンスの巨匠たちも好んで描いた主題です。
牧師補の福永澄さんは、「このクラシックなスタイルのステンドグラスは珍しく、気づかずに帰る方も多い」と話します。日中は聖堂内に差し込む光が、夕暮れ時には照明に照らされ、宵闇に浮かび上がるように輝きます。
地域に開かれた教会
目白聖公会は、単なる祈りの場にとどまらず、地域社会に貢献する活動を積極的に行っています。2020年には新型コロナウイルス感染症の影響で、子育て支援団体が食品を無料配布する際に場所を提供しました。また、毎月子どもたち向けの無料学習支援塾を開催し、音楽教室によるコンサートも予定されています。
聖堂の扉は365日、午前6時から開かれており、早朝から祈りに訪れる人々の姿が見られます。福永さんは「地域の方に親しまれ、用いられるのが教会の使命」と語り、訪れる人を静かに見守っています。
JR山手線目白駅から徒歩数分、目白銀座商店会を西に進んだ先にあるこの聖堂は、歴史と美しさを兼ね備えた、心静かなひとときを提供してくれます。



