かつて浜名湖畔の織物業者が漁網を作る技法で手がけていた「和紙タオル」が復活した。特殊加工した和紙製の糸でふっくらと織り上げた品は浜名湖土産として知られたが、2年前の業者の倒産を機に姿を消していた。技術を絶やすまいと、業者が加盟していた遠州織物工業協同組合(浜松市中央区)の事務局長、松尾耕作さん(73)が事業を引き継いだ。
和紙タオルの特徴と製法
手触りはふんわりと柔らかい。水を吸うと生地が膨らみ、泡立ちも抜群だ。「体に優しく、皮膚を傷めない」。松尾さんは和紙タオルの特長をアピールする。
強度を上げ、水にも溶けなくなる加工を施した和紙製の糸を使う。2本の縦糸を「8」を描くように交差させ、穴の部分に横糸を通す「からみ織り」で作る。この織り方でシラスなどを取る網を手がけていた「静岡濾布(ろふ)」が、約30年前に和紙タオルを開発した。
復活までの経緯
タオルは全国推奨観光土産品として日本商工会議所会頭賞を受賞。浜名湖の土産物として定着した。人気が人気を呼び、同社工房でのタオル染色体験には多くの観光客が訪れた。
和紙タオル事業は好調だったが、同社は他事業の不振で2024年に倒産。からみ織りの遠州織物を作る事業者は少ない。「なんとかして残せないか」。こうした声が松尾さんに寄せられた。松尾さんは「技術をなくしてはいけない。商品のファンも多い」と思案の末に事業を継ごうと決断。「遠州繊維産業」と冠した会社を個人で設立した。
現在の販売状況
ノウハウと織機を受け継いだ。以前と同じ素材を使い、製法も守っている。今年1月に試験販売を始めると、再販を心待ちにしていた人から大きな反響があった。4月に製造を本格化させた。
その質感や耐久性から、繰り返し買い求める愛用者が多いという。松尾さんは静岡濾布の取引先を一軒一軒回って販路を広げており、「浜名湖の名物にしたい。全国に広めたい」と意気込む。
1枚1320円。遠州織物会館(浜松市中央区山下町)と通販サイト「クリーマ」で販売中。委託販売もしており、商品名や価格が異なる場合がある。
問い合わせは、遠州織物会館内にある遠州繊維産業和紙タオル係=電話053(478)0121=へ。



