半世紀前の米国旅行記が一冊の本に 杉並区の伊東芳紀さんが自費出版
東京都杉並区に住む会社役員の伊東芳紀さん(74)が、大学生時代の1973年に友人と共に体験した米国全土のバス旅行の記録を書籍『グレイハウンド99ドル』(西荻書房)として自費出版しました。この本は、故人となった浜田健さんとの共著で、53年前の旅の様子を生き生きと伝えています。
旅のきっかけと書籍化までの道のり
タイトルは、当時全米の主要都市を結ぶ長距離路線バス「グレイハウンド」が提供していた30日間乗り放題パスが99ドルだったことに由来します。伊東さんと浜田さんは慶応大学の同窓生で、夏休みを利用してこのパスを活用し、西海岸のロサンゼルスから東へ向かう40日間の旅に出ました。
移動手段はグレイハウンドとレンタカーを組み合わせ、宿泊は米国の大学が休暇中に一般開放する学生寮を利用しました。浜田さんは2016年に病気で急逝し、伊東さんが弔問した際、遺族から2人が旅の模様を記録したノートを受け取りました。旅から50年の節目となる2023年から書籍化を進め、製本業を営む知人の協力を得て、昨年11月に刊行に至りました。
70年代の米国社会を描く旅の記録
旅の道中で、2人は人種と民族のるつぼが生み出すエネルギーに圧倒され、雄大な大自然にも目を奪われました。若い日本人旅行者におせっかいを焼き、親身に接する米国人に感銘を受ける一方で、厳然と存在する人種差別や極端な貧富の差も目の当たりにしました。
伊東さんは「この旅を通じて、外から物事を見たときにどう見えるかを相対化する習慣が付きました。米国で分断と対立が深まる今だからこそ、50年前の姿を知ってほしい」と語っています。この書籍は、日本人旅行者の目を通した1970年代の米国の実相を、詳細に描き出しています。
書籍の詳細と購入方法
『グレイハウンド99ドル』はA5判116ページで、税込み2200円(送料は実費)です。購入や問い合わせは、西荻書房にメール(nishiogishobo@gmail.com)またはファクス(03-5303-5478)で連絡することができます。この自費出版は、個人の貴重な体験を後世に伝える取り組みとして、地域でも注目を集めています。



