批評家で随筆家の若松英輔氏の評価を軸に、武者小路実篤を新たな視点で捉え直す春の特別展が、東京都調布市若葉町1の武者小路実篤記念館で開催中だ。実篤と深い交流のあった宗教者や画家、文学者らの作品や関連資料を集め、文学史にとどまらない広い文脈で実篤を再評価する試みとなっている。市内では28日から、若松氏が所蔵する実篤の書画の展覧会も予定されている。
特別展の見どころ
特別展「よみがえる武者小路実篤・美愛真の世界-若松英輔コレクションを中心に」では、若松氏が長年所蔵し「ずっと眺めている」という実篤の書「無尽蔵」「美愛真」「独立独歩」など、全127点が展示されている。
実篤はキリスト教徒として深い哲学性や宗教性を備え、多くの人々を引きつけ結びつける存在だったことに改めて注目。キリスト教思想家の内村鑑三の書、画家の椿貞雄や河野通勢の油絵や淡彩画、民芸運動の提唱者である柳宗悦の書などが、実篤の作品と同じ空間に並べられ、作品間の通底するものを来場者に感じてもらう趣向だ。19日に展示替えがあり、会期は6月7日まで。
学芸員のコメント
学芸員の伊藤陽子さんは「実篤は椿や河野といった一流の画家からも画家として認められる実力を持っていたことは、あまり知られていない。一つ一つの作品や資料は一見異なるようで、どこかで共通しており、並べてみるとしっくりきた。会場でじっくり感じてほしい」と話す。
関連展覧会
28日から7月5日には、同市小島町2の市文化会館たづくり1階展示室で、若松氏所蔵の実篤の書画を展示する「若松英輔コレクションに見る 武者小路実篤・美とことばの宇宙」も開催される。詳細は記念館のホームページで確認できる。



