東近江の100畳大凧、事故から11年を経て安全対策を強化し5月に復活へ
東近江100畳大凧、事故から11年で5月復活

東近江の100畳大凧、11年ぶりの復活に向けて安全最優先で準備進む

2015年5月の落下事故以来、途絶えていた滋賀県東近江市の100畳敷大凧の飛揚が、今年5月に復活します。地元の東近江大凧保存会は昨年9月、新たな大凧を制作し、飛揚再開を目指してきました。保存会の山田敏一会長(71歳)は、「亡くなった方やけがをした方への思いを胸に、安全に凧を揚げたい」と語り、事故の教訓を生かした取り組みを強調しています。

事故の経緯と伝統継承の危機

事故は2015年5月31日、東近江市のふれあい運動公園で開催された「東近江大凧まつり」で発生しました。縦約13メートル、横約12メートル、重さ約700キロの大凧が落下し、観客1人が死亡、8人が重軽傷を負う痛ましい出来事でした。これをきっかけに、保存会は100畳敷きの大凧の制作と飛揚を見合わせてきました。

一方で、その間、メンバーの減少や高齢化が進み、大凧の制作や飛揚技術の継承が危ぶまれる状況に陥りました。保存会は昨年4月の定期総会で、小椋正清市長に危機感を訴え、市は新たな大凧の制作費として100万円を補助しました。完成した大凧の図柄は「昭和100年」をテーマとし、飛揚日は「昭和の日」(4月29日)に近い5月2日に設定されました。これは、「近江八日市の大凧揚げ習俗」(国選択無形民俗文化財)の保存と継承を目的としており、バザーや凧のコンテストなどは行わない方針です。

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徹底した安全対策と運営体制の変更

大凧は、障害物の影響を受けない広い場所で揚げる必要があるため、11年前と同じ場所で実施されます。ただし、安全確保のため、凧の引き綱の長さにあたる半径約200メートル内を立ち入り禁止とし、その外側に観覧場所を設けます。当日は気象条件を詳細に確認し、平均風速10メートル以上の場合は中止とし、順延は行わないとしています。

事故調査検討委員会の報告書によると、当時は凧の張力を抑えるためのアンカーとして使用した約2トンの車両が約10メートル移動するほどの力がかかったと結論づけられました。今回は、注水して総重量約20トンになる散水車を使用し、大凧に取り付ける引き綱は、これまでより10ミリ太い30ミリで対応します。

運営体制も変更され、従来の実行委員会の主催から、保存会が主催し、市が後援・協力する形に移行しました。市は新年度当初予算案に、保存会への補助金500万円を計上し、警備や会場設営、凧の運搬、観客を会場へ運ぶシャトルバスの費用などに充てられます。安全対策は主に市が担い、大凧完成後の昨年9月以降、保存会と協議を続けてきました。事故調査検討委員会が提言した「安全管理マニュアル」も作成中で、小椋市長は「二度と事故を起こしてはならない」と強く訴えています。

この復活は、単なる伝統の再開ではなく、安全を最優先にした新たな挑戦として注目されています。地域の文化遺産を守りながら、未来へ継承するための重要な一歩となるでしょう。

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