歌舞伎『流白浪燦星』第2弾、東京・新橋演舞場で3月上演 片岡愛之助がルパンと五ェ門の二役に挑む
モンキー・パンチの人気漫画『ルパン三世』を原作とする新作歌舞伎の第2弾『流白浪燦星 碧翠の麗城』が、2026年3月5日から27日まで、東京・東銀座の新橋演舞場で上演される。前作に引き続き、主人公のルパンを演じるのは片岡愛之助で、今作では石川五ェ門の役も兼任することが明らかになった。
稽古中の戸惑いから舞台での確信へ ルパンと歌舞伎の融合に手応え
第1弾は2023年12月に初演され、和装のルパン一味がお宝を狙って歌舞伎の世界で暴れ回る物語が展開された。名場面のパロディーも巧みに取り入れ、観客から好評を博した。稽古中、愛之助は「正解がわからず、どこまでルパンに寄せたらいいのか。恥ずかしさもあった」と戸惑いを明かしていた。衣装やかつらを歌舞伎仕様に置き換える創作過程には不安もあったという。
しかし、幕が開くとその心配は杞憂に終わった。「俺の名はルパァ~ンさぁ~んせ~ぃ」と高らかに名乗りを上げると、客席から感嘆の息が漏れ、愛之助は「これ、イケるんと違うか!? 真っ暗な中に一筋の光が見えた」と確信した。歌舞伎のせりふ回しと、アニメで有名なルパン独特の口調が声の調子や抑揚で似ていたことが功を奏し、「基本は歌舞伎で、ルパンらしいところをスパイスに。うまく合わせられた気がしました」と振り返る。
今作は「ヒロインもの」に 新しいお姫様像の創造を目指す
初演から2年を経た今作は、いわゆる「ヒロインもの」として展開される。寺にため込まれた金を盗みに入った流白浪燦星(愛之助)が、執権の瀧津弾正(中村錦之助)と結婚させられそうになっている瀬織姫と出会い、幻の古城に秘められたお宝を巡る冒険に挑む物語だ。
瀬織姫は「かわいすぎる女形」と称される若手の中村米吉が演じる。愛之助は「かわいらしく、大人の女性になりすぎていない、かれんなところがイメージにぴったり」と評価する。ルパンが瀬織姫とともに宙乗りする場面も用意されており、愛之助は「お宝のカギを知っているのは瀬織姫で、あくまでもルパンは、そのお宝を求めている。歌舞伎では男女の恋愛のようになってしまいがちだが、つかず離れずの距離感を大切にしたい」と演じるうえでの勘所を語った。
脚本・演出の戸部和久、古典を現代にアップデートする試み
脚本・演出は第1弾に続き戸部和久が担当する。戸部はこれまで『風の谷のナウシカ』の共同脚本をはじめ、多くの新作歌舞伎を手がけてきた。今作のテーマについて、「歌舞伎のお姫様像に、ルパンのヒロインを落とし込み、歌舞伎の中における新しいお姫様像を作っていきたい」と明かす。
古典歌舞伎に出てくる姫は、自己を犠牲にして男性や家に尽くす女性が典型的だが、戸部は「今であれば現代的なお姫様像があってもいいのではないか」と常々考えていたという。「無理やり結婚させられる瀬織姫の前に、スーパー自由なルパンが現れる。女性が自分を見つけ、歩いていく物語にしたい。ルパンは歌舞伎のお姫様像を導いてくれる」と期待を込める。仏の作家モーリス・ルブランの『怪盗紳士アルセーヌ・ルパン』にも着想を得ており、「ルパンと歌舞伎のそれぞれの歴史の延長線上に、この作品を作っています」と自信を見せた。
キャストと公演情報 事前講座も開催
愛之助はルパンに加え、石川五ェ門も演じることになり、「無口でちょっと無愛想で、でも芯が通っていて……。研究中です」と意気込む。その他のキャストは、峰不二子を市川笑也、次元大介を市川笑三郎、銭形刑部を市川中車が勤める。
公演に関する問い合わせは、電話0570・000・489まで。また、3月8日午前11時から、東京・大手町の読売新聞東京本社3階新聞教室で、よみうりカルチャー主催による事前レクチャーが開催される。戸部が講師を務め、作品の魅力や裏話、見所などを紹介する。聞き手は本紙の森重達裕・文化部次長が担当し、レクチャー後は新橋演舞場に移動して夜の部の公演を1等席で鑑賞できる。参加費はチケット代込みで1万7500円(よみうりカルチャー会員1万7000円)。申し込みはウェブサイトから、問い合わせは電話03・3642・4301(日曜、祝日除く)まで。



