唐招提寺の新長老に久保孝戒さんが就任 伝統と革新の調和を目指す
中国から苦難の末に来日した鑑真和上が開いた奈良市の世界遺産・唐招提寺において、第90世長老と律宗管長に、2026年4月から奈良県五條市・講御堂寺住職の久保孝戒さん(76)が就任することが決定しました。3月6日に開催された記者会見で、久保さんは「伝統を重んじると共に、変化を恐れず臨みたい」と力強い抱負を語りました。
1200年以上の歴史を継承する決意
久保孝戒さんは1949年東京生まれ。30歳の時に得度し、戦後長く唐招提寺長老を務めた森本孝順氏(1995年没)の弟子となりました。同寺の執事長などを歴任し、2021年からは律宗宗務長を務めています。
会見で久保さんは「1200年以上の歴史のある寺を引き継ぐ責任の重さを感じています」と述べ、次のように方針を説明しました。
- 変えるべきものはためらうことなく変えていく
- 変えてはいけないものは何があっても変えない
- この両面のバランスを大切にしたい
具体的な改革計画と伝統の維持
久保さんは具体的な取り組みとして、境内のバリアフリー化に意欲を示しました。スロープの設置や一部舗装によるアクセス改善を進める一方で、「本堂に向かう時の、砂利を踏む音がいいという方も多い」として、境内の全面的な舗装はしない意向を明確にしました。
また、文化財保護の観点から重要な計画として、1970年に建てられた現在の新宝蔵に代わる新たな文化財収蔵庫の建設を検討していることを明かしました。この新収蔵庫には空調設備などを備え、任期中の5年間で場所の選定と基本設計を終えたいと語りました。
信仰の場としての本質を大切に
「信仰の場としての唐招提寺を大切にしたい」と強調した久保さんは、静かに瞑想ができる施設の整備にも意欲を見せました。現代的なニーズに対応しつつ、寺院本来の精神的価値を守り抜く姿勢を示しています。
新長老就任の晋山奉告法要は、4月6日午後2時から同寺金堂で執り行われます。鑑真和上が建立したこの歴史的寺院の新たな歩みが、多くの関係者や参拝者から注目されています。
