第84期将棋名人戦七番勝負(朝日新聞社、毎日新聞社、日本将棋連盟主催、大和証券グループ特別協賛、和倉温泉日本の宿のと楽協力)の第3局が、7日と8日に石川県七尾市の和倉温泉で開催される。この地は依然として能登半島地震からの復旧過程にある。誘致の中心となった旅館「のと楽」の常務、谷崎康織さん(40)は「立ち上がる姿を全国に発信する機会にしたい」と期待を寄せている。
復旧途上の和倉温泉
海沿いに位置する和倉温泉では、地震によって護岸が崩れ、多くのホテルや旅館が深刻な被害を受けた。和倉温泉旅館協同組合によると、現在加盟する19の宿泊施設のうち、観光客を受け入れ可能なのは9軒にとどまる。2025年度の宿泊者数は約18万7千人で、地震前の2023年度(4月から12月)と比較してわずか4割の水準である。
「のと楽」の被害と再開
客室約120室を擁する「のと楽」も、玄関やホールの天井が落下し、床が波打つなどの被害を受け、営業休止を余儀なくされた。約10億円を投じて修繕を行い、2024年11月に一部営業を再開したものの、道路と敷地の間には依然として段差が残っている。能登半島地震で天井が落ちた「のと楽」のホール(2024年1月3日撮影、のと楽提供)
名人戦誘致の経緯
こうした困難な状況の中、谷崎さんが名人戦誘致の旗振り役を務めた。のと楽の3代目として和倉で生まれ育った谷崎さんは、東日本大震災や新型コロナウイルス禍による「自粛ムード」で客足が遠のいた時期を乗り越えてきたが、能登半島地震の打撃はそれ以上に深刻だった。被災後、明かりが消え、人の気配がなくなった温泉街を目の当たりにし、復興への強い決意を新たにしたという。今回の名人戦開催は、地域の再生を象徴する重要な一歩と位置づけられている。



