文化審議会は22日、民家として初めて国宝に指定するよう文部科学相に答申した。対象となった2棟は、いずれも兵庫県に残る茅葺き屋根の古民家で、中世の暮らしを伝える「千年家」として地元で親しまれてきた。
箱木家住宅主屋と旧古井家住宅
国宝に指定される見通しとなったのは、神戸市北区山田町の箱木家住宅主屋と、姫路市安富町皆河の旧古井家住宅の2棟である。両方とも家の構造は入り母屋造りの茅葺き屋根で、軒が低く、外からは柱が見えない大壁造となっている。開口部が少なく、採光はあまり行われない。
正面には応接間のような1部屋、背面に寝たり食事をしたりする生活空間の2部屋を並べる「前座敷型三間取」の形式をとる。かまどや囲炉裏も備えられている。
県教育委員会の文化財担当者は「戦禍にも火災にも遭わず、長い歴史のなかでも消滅することなく残っていたのは奇跡的」と評価する。
現存最古の民家
箱木家住宅主屋は、南北朝の動乱があった14世紀ごろに建てられた現存最古の民家だ。箱木家は中世の土豪(地方の小領主)で、応永期(1394~1428年)ごろ、地域の神事や行事を主宰する組織「宮座」のナンバー2だった。
1967年に国重要文化財に指定された当時は、現在の場所から70メートル北西にあった。ダムの建設に伴い、1977年から79年にかけて現在の場所へ移築された。このころまで主屋に住んでいた51代目当主は「責任重大です」と語っている。
旧古井家住宅も同様に中世の建築様式を残し、地域の歴史を今に伝える貴重な存在である。両棟の国宝指定は、日本の民家建築の価値を広く認識させる契機となるだろう。



