小村雪岱のデザイン世界を解き明かす『小村雪岱 デザイン大鑑』、江戸情緒とモダンが融合
小村雪岱のデザイン大鑑、江戸とモダンの融合を探る

小村雪岱のデザイン世界を探る画期的な書籍が刊行

美術史家で多摩美術大学教授の金沢百枝氏が、『小村雪岱 デザイン大鑑』(山田俊幸監修、永山多貴子/大平奈緒子/谷口朋子編著、国書刊行会)を高く評価している。本書は、大正から昭和初期に活躍した画家・小村雪岱に焦点を当て、その芸術的側面をデザイナーとして再解釈する試みだ。

雨に佇む娘と雀たち:雪岱の繊細な表現力

金沢氏は、雪岱の作品を「しとど降る雨のなか、ひとり佇む娘」と描写し、その表情が漆黒の傘で隠されている点に注目。たおやかな線が雨脚の強弱を描ききり、のんきに跳ねる雀たちも加わることで、情感豊かな情景を創り出していると指摘する。

デザイナーとしての雪岱:装幀から舞台装置まで

雪岱は画家として知られるが、本書は本の装幀や小説の挿絵、舞台装置など、多岐にわたるデザイン活動に光を当てる。これにより、従来の評価を超えた新たな芸術像を浮き彫りにしている。

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色彩の魅力:鼠色から桜色まで

特に印象的なのは色彩の使い方だ。浮世絵にも用いられた鼠、鈍、錆色に加え、屏風絵の若葉色や大正浪漫風の桜色など、選色と配色が優れている。本の表紙や見返しでは、差し色の赤を入れて物語の連続性を強化し、透明感のある色を重ねることで、粋な色合わせを実現している。

白黒画の技法:浮世絵の「つぶし」を応用

白黒画においては、浮世絵の技法「つぶし」を駆使。べったりと塗り込めた闇と余白のバランスが絶妙で、深みのある表現を生み出している。

江戸情緒と当世風の融合

作品には江戸情緒が当世風にアレンジされた要素も見られる。例えば、ぽつんと浮かぶ渡し船は浮世絵風だが、詳細に見るとモーター式の乗合船で、着物姿の女性に加え、洋装のモダンガールも描かれており、時代の移り変わりを感じさせる。

金沢氏は、これらの分析を通じて、雪岱のデザインが伝統と革新を巧みに融合させた独自の美を追求していると結論づけている。本書は、美術愛好家やデザイン関係者にとって貴重な資料となるだろう。

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