大相撲夏場所(東京・両国国技館)で、小結の若隆景(福島市出身、荒汐部屋)が、2022年春場所以来となる2度目の優勝を果たした。得意のおっつけやつり出しなど多彩な技を駆使する角界きっての実力者が完全復活を遂げ、今後の活躍で念願の大関昇進を達成することが期待される。
若隆景の優勝までの道のり
若隆景は、右肘の故障を抱えながらも初日から4連勝するなど、一度も連敗しない集中力で勝ち星を重ねた。優勝決定戦の相手は、12勝3敗で並んだ大関霧島だった。本割の11日目に敗れるなど、直接対決で5連敗中だったが、決定戦では下からの鋭い攻めで一気に押し出す会心の相撲で賜杯を獲得した。
長期欠場からの復活
若くして将来を嘱望されていたが、23年春場所で右膝を負傷したことで長期欠場し、一度は番付を幕下まで下げた。「長かった。諦めずにやってきて良かった」と語るように、リハビリと粘り強い稽古で番付を上げ、史上3番目の長さとなる25場所ぶりの優勝を果たした。精進を怠らず、歩みを進めてきた不屈の闘志をたたえたい。
大関昇進への期待
若隆景は再入幕した後、昨年の夏場所に小結で12勝3敗の成績を収めた。続く名古屋場所で関脇として10勝を挙げたため、大関昇進の目安である「直近3場所での合計33勝」に手が届くことが期待された。しかし、昨年秋場所は6勝9敗と負け越し、好機を逃していた経緯がある。
今場所、小結で12勝3敗の成績を残したことで、再び大関昇進を狙う起点をつくった。来場所には休場していた豊昇龍、大の里の両横綱の復帰が見込まれるなど、賜杯争いは激しさを増すことが予想される。若隆景には、安定感が増した下半身に支えられた鋭い出足を磨くことで、今後2場所連続の2桁勝利に向けて勝ち星を積み上げてほしい。
福島県知事賞と地域の応援
大相撲を巡っては東日本大震災後の13年、本県の復興を願って福島県知事賞が創設された。両国国技館で開催する初場所、夏場所、秋場所の各優勝力士に「赤べこ」のトロフィーと、副賞の県オリジナルブランド米「天のつぶ」や県産の野菜などを贈る賞だ。今回の若隆景の優勝により、40回目で初めて、本県出身力士に贈られることになった。
千秋楽の日にJR福島駅西口駅前広場で行われた大型ビジョンでの観戦には、福島市民やファンら約400人が集まり声援を送るなど、本県出身力士の活躍への関心は高い。若隆景をはじめとする郷土力士の奮闘が、地域再生の道を歩む県民に今後も勇気を与えてくれることを期待したい。



