鈴鹿サーキット、F1日本GPで20年ぶり30万人超え 若者人気が牽引
鈴鹿サーキット、F1日本GPで20年ぶり30万人超え

2026年3月に開催されたF1日本グランプリ(GP)で、三重県鈴鹿市の鈴鹿サーキットへの来場者数が3日間の延べ人数で31万5千人に達し、2006年以来20年ぶりに30万人の大台を超えた。このF1人気の高まりは一過性のものではなく、着実に根付いていると見る関係者は少なくない。2029年に開催契約の期限を迎える地元では、継続開催に向けて機運が高まっている。

若者を中心に広がるF1人気

鈴鹿で地域振興に取り組むモータースポーツ友の会の畑川治理事長(78)は、「単なるブームではなく、モータースポーツ文化が底上げされた」と盛況ぶりを分析する。今年は日本人ドライバーが不在でホンダ勢も苦戦したが、「特定の選手やチームだけでなく、F1という競技そのものを楽しむ人が増えている」と、文化としての浸透を指摘する。

鈴鹿サーキットを運営するホンダモビリティランドによると、特に若者への浸透が顕著だ。今年の来場者の半数は30代以下で、初来場の20代は前年の1.4倍に増加。「F1を初めて見に来た」という声も多く聞かれ、担当者は「F1がスポーツの枠を超え、エンターテインメントとしても受け入れられ始めている」と手応えを語った。

Pickt横長バナー — Telegram用の共同買い物リストアプリ

映像作品が牽引する世界的ブーム

背景には、映像作品による世界的なF1人気の高まりと、それに伴うインバウンド(訪日客)の増加がある。動画配信サービス「ネットフリックス」で配信されたF1ドキュメンタリーシリーズや、昨年公開されたブラッド・ピット主演映画「F1/エフワン」などの影響で、F1に興味を持つ若者が増えたとみられる。

映画を見て初めてF1観戦に訪れた広島県の会社員の男性(27)は、「男たちの人生が車1台にかかっていて、その覚悟や生き方が格好よかった」と力説する。決勝当日に会場を訪れたトヨタ自動車の豊田章男会長(モリゾウ)も、本紙などの取材に「これまでモータースポーツに興味のなかった人たちが、若いドライバー見たさに訪れ、ファンとして定着しそうな予感を感じた」と語った。

鈴鹿サーキットの歴史と復活

鈴鹿サーキットで日本GPが初開催されたのは1987年。アイルトン・セナとアラン・プロストの歴史的な名勝負をはじめ、数々のドラマを生み、日本のモータースポーツ文化を牽引してきた。来場者のピークは、日本GPが富士スピードウェイ(静岡県)へ移る前年の2006年で36万1千人を記録。その後、鈴鹿開催に戻ったものの、コロナ禍で中止となった2020年までの数年間は観客数が10万人台と伸び悩んでいた。

継続開催へ向けた自治体の取り組み

人気の再燃を一時的なブームで終わらせまいと、鈴鹿市は2026年度から新たに「観光・モータースポーツ局」を新設し、本腰を入れる。開催契約が期限を迎える2029年以降の継続開催に向け、国や県、関係団体との連携を一層強化する方針だ。末松則子市長は4月の会見で「継続開催に向けて40万人を目指すことが大きな目標。今のF1人気は大きなチャンスだ」と強調した。

映像作品による話題性や若者人気、インバウンドの増加といった追い風を受け、モータースポーツ文化が広がりを見せる中、鈴鹿のF1は新たなステージへアクセルを踏み込んでいる。

Pickt記事後バナー — 家族イラスト付きの共同買い物リストアプリ