若隆景、右肘の痛みを乗り越えて3連勝
大相撲夏場所は12日、東京・両国国技館で3日目を迎え、4場所ぶりに三役へ復帰した若隆景(荒汐部屋)が、義ノ富士(伊勢ヶ濱部屋)を寄り切って3連勝を飾った。2場所連続優勝を狙う大関復帰の霧島(音羽山部屋)も藤ノ川(伊勢ヶ濱部屋)を寄り切って3連勝。勝ちっぱなしは琴栄峰(佐渡ヶ嶽部屋)、翔猿(追手風部屋)を加えた4人となった。
「相撲を取れない期間もしっかり体を動かした」
雲一つない青空のように爽快な取り口を見せた若隆景。勝ち名乗りを受ける際の手刀の動きにも好調ぶりが表れていた。相手は過去3戦全勝の義ノ富士。若隆景は「しっかり踏み込んで、下から(攻める)意識があった」と振り返る。その言葉通り、相手より低い姿勢でぶつかり、突きを右にあてがってそのまま右を差し、左でおっつけるように密着。義ノ富士の体が完全に伸びきっても攻め手を緩めず、寄り切った。
3月の春場所前に右肘を痛め、同場所13日目に悪化。普段は喜怒哀楽を見せない男が土俵で苦悶の表情を浮かべるほどの激痛だった。14日目から休場し、春巡業も休んだ。幕内力士との稽古再開は夏場所の約1週間前。満足な調整はできなかったはずだが、「相撲を取れない期間もしっかり体を動かした」と頷く。
八角理事長「『痛い』って言わないのがいい」
右肘にはサポーターを着けるが、「痛い」「かゆい」と口にしない姿勢は、昭和の力士の薫りを漂わせる。八角理事長(元横綱北勝海)は「『痛い』って言わないのがいいじゃない」と評価。師匠の荒汐親方(元幕内蒼国来)も「まだ治っていない。けがと闘いながらうまくやっている」と弟子の心身の強さに目を見張る。
初日からの3連勝は2024年九州場所以来。2日目には大関琴桜に対し、低く踏み込みながら無理に前進せずじっくり攻める勝負勘も光った。優勝や大関取りに挑んだ経験もあり、力は証明済みだ。「土俵の上で一生懸命、相撲を取るだけ」。何度も悩まされてきたけがをものともせず、初夏の主役に躍り出る。



