細田あい、東京マラソンで現役生活に幕 笑顔で終える決意を語る
東京マラソン(東京新聞など共催)が3月1日、東京都庁前から東京駅前までのコースで開催される。この大会は、愛知・名古屋アジア大会の代表選考レースを兼ね、ロサンゼルス五輪代表選考会「グランドチャンピオンシップ(MGC)」への出場権も懸かる重要な一戦だ。男女の有力選手たちがそれぞれの思いを胸に首都を駆ける中、引退を発表した細田あい選手(エディオン)の強い決意が注目を集めている。
けがとの闘い、延長された競技生活
細田選手は、2021年東京五輪での引退を当初予定していたが、パリ五輪まで延長し、さらに昨年の東京世界選手権まで続けることになった。東京五輪代表を逃し、パリ五輪も補欠に終わったものの、彼女が求めたのは結果ではなく、万全な準備を尽くしてやり切ることだった。しかし、左太ももや股関節のけがに悩まされ、練習とレースを繰り返す日々が続いた。
「練習でちょっとだけ走ってレースに出て、また脚が痛くなっての繰り返し。このまま終わるわけにはいかない、納得できない感じでした」と、苦しい時期を振り返る。特に2023年は、五輪出場への熱い思いとけがを抱える体のギャップに苦しみ、悔しい日々を過ごしたという。
昨年の東京マラソンで感じた転機
世界選手権の代表選考会を兼ねた昨年の東京マラソンでは、目標を達成できなかったものの、大会後には不思議な感情に包まれた。細田選手は「悔しさがわき上がってこなかった。すがすがしくて、満足したのが正直なところ」と語り、そこで引退してもよかったが、「最後あと1年」と決意を新たにした。
この決断がエンジンとなり、昨年6月には5000メートルで3年ぶりに自己記録を更新。8月のシドニー・マラソンでは2時間23分27秒で、ロサンゼルス五輪のMGC出場権獲得第1号となった。11月の全日本実業団対抗女子駅伝では、5区区間賞でエディオンの初優勝に貢献するなど、好結果を連発した。
最後の一滴まで、全霊を傾ける
細田選手は、これらの成果について「周囲の助けがあり、ここまでやれた。楽しいと思えたし、いい1年だった」と感謝の念を示す。しかし、現役続行への翻意はなく、完全燃焼するための1年だったと強調する。
心のタンクにはまだわずかな燃料が残っており、最後の一滴も残さないように東京マラソンに全霊を傾けると宣言。引退を記念するレースにするつもりはなく、「しっかりやり切りたい」という強い思いを繰り返した。
笑顔か涙か、ラストランへの期待
細田選手は「ラストは笑顔で終わりたい。自然と笑顔になれたら満足なんだろうな」と語る一方で、「涙もろいので涙が出てくる可能性もあるんですけど」と付け加えた。笑顔か、涙か、それとも泣き笑いか、やり切った後の感情は未知数だが、彼女自身がラストランを一番楽しみにしているという。
細田あい選手は長野東高から日体大を経て、2018年にダイハツ入りし、2021年にエディオンに移籍。マラソンの自己記録は2024年9月のベルリンでマークした日本歴代8位となる2時間20分31秒。長野県出身の30歳が、東京のコースで現役生活にピリオドを打つ。



