前田穂南、日本最速の自分を超える決意 2026年名古屋ウィメンズマラソンへ
2024年パリ五輪直前、日本記録保持者の前田穂南を不測の事態が襲った。右大腿骨の疲労骨折が判明し、悲願の舞台への出場を断念せざるを得なかった。しかし、治療期間中に彼女の心に浮かんだのは、競技を続けるべきだという強い思いだった。悔しさをバネに、まだ見ぬ自らの限界へ挑む決意を固めたのである。
名古屋ウィメンズマラソン2026が重要な舞台に
2026年3月8日に開催される名古屋ウィメンズマラソンは、単なるレースではない。今秋の愛知・名古屋アジア大会代表選考会を兼ね、さらに2028年ロサンゼルス五輪選考会「マラソングランドチャンピオンシップ(MGC)」の出場権もかかる重要な大会だ。それぞれの目標への第一関門として、有力選手たちが熱い戦いを繰り広げる。
前田は2024年1月の大阪国際女子マラソンで、2時間18分59秒という好タイムをマークし、19年ぶりに日本記録を更新した。パリ五輪代表を射止めることになるこの記録だが、本人は完全に満足していない。前半で給水を取り損ねたことが後半のダメージにつながり、「もっと良いタイムで走れた」という感覚が強く残っているという。
虎視眈々と狙う2時間16分59秒の壁
現在、前田が視野に入れているのは、ロサンゼルス五輪の早期代表内定につながる「MGCファストパス」で設定された2時間16分59秒だ。自身の日本記録よりも2分速いこのタイムを、「頭にずっと入れている」と虎視眈々と狙っている。
手応えの一つとして挙げるのは、東京五輪後から挑戦している厚底シューズへの対応だ。当初はフォームが定まらず体への負担も大きかったが、今では厚底の感覚に「慣れてきている」という。今年7月に30歳を迎える前田は、若いころの「がむしゃら」な走りから一変し、体の不調を感じれば思い切って練習量を抑えるなど、賢い調整を心がけている。これにより疲労やけがを避け、継続した練習につなげているのだ。
約2年1カ月ぶりの国内マラソンに熱視線
名古屋ウィメンズマラソンは、2024年大阪国際以来、約2年1カ月ぶりの国内マラソンとなる。日本記録保持者として多くの熱視線を浴びる中、前田は「応援してくれるたくさんの人の力を借りて、自分の力以上の走りがしたい」と語る。注目されることを追い風にする強い気持ちが感じられる。
五輪や世界選手権経験のある実力者がそろうレースだが、前田は「特には」と周囲を気にするそぶりは見せない。気温が高くなる可能性を警戒しつつ、後半のペースアップを見据えた戦略を練っている。「自分の記録を超えたい」という一心で、次の五輪に向け、「日本最速」の自分へ挑戦する覚悟だ。
前田穂南プロフィール
- 大阪薫英女学院高を経て、天満屋所属
- 2017年北海道マラソンで優勝
- 2019年マラソングランドチャンピオンシップ(MGC)を制し、2021年東京五輪代表に決定
- 東京五輪は33位
- 2023年名古屋ウィメンズマラソンでは2時間22分32秒で3位
- 29歳(2025年3月時点)、兵庫県尼崎市出身



