F1日本GP開催地の行方に懸念 大阪誘致案浮上で鈴鹿市が危機感、契約期限2029年まで
F1開催地に大阪案浮上 鈴鹿市が危機感、契約期限2029年

F1日本開催地の行方に不透明感 大阪誘致案で鈴鹿市が警戒強める

世界最高峰のモーターレース「フォーミュラ1(F1)」の開催地を巡る誘致競争が国際的に激化する中、日本国内では大阪府によるF1誘致の動きが具体化しつつある。この状況に強い警戒感を示しているのが、長年にわたり日本グランプリ(GP)を開催してきた三重県鈴鹿市だ。現行の開催契約は2029年までとなっており、それ以降の継続に向けた動向が注目されている。

維新政権参加で現実味増す大阪誘致案

昨年10月に自民党と日本維新の会による連立政権が誕生したことを受け、鈴鹿市の末松則子市長は「IR(統合型リゾート施設)とF1誘致の絡みが現実味を帯びてくるのではないか」と懸念を表明した。市長が指摘するIRとは、2025年大阪・関西万博の跡地に建設が進むカジノを含む大型施設であり、2030年の開業を目指している。

この計画では、施設の南側エリアにサーキット場を整備する案が浮上しており、事業者側は将来的なF1誘致の意向も示唆している。維新の会は創設者である橋下徹氏らが以前からF1大阪誘致を推進してきた経緯があり、2015年には大阪市の御堂筋でF1マシンのデモ走行を実施。さらに2024年には大阪府と大阪市が出資する大阪観光局の理事長が公式に誘致意向を表明するなど、具体的な動きが加速している。

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「1国1開催」の不文律が鈴鹿に影

F1には「1国1開催」という不文律が存在するため、仮に大阪が誘致に成功した場合、鈴鹿での開催は事実上終了することになる。これは単なる開催地の変更ではなく、中部経済圏全体に大きな影響を及ぼす事態となる。鈴鹿サーキットを運営するホンダモビリティランドとF1統括団体(FOM)との契約は2029年までであり、それ以降の更新が不透明な状況だ。

与党となった維新の会の三重県総支部代表を務める浦野靖人衆院議員は、「具体的にF1大阪誘致が進んでいる話でもないし、正式に終わった話でもない」と慎重な姿勢を見せる。党内には誘致に否定的な意見もあることを明かしつつも、政治状況の変化が地元に与える影響を認めている。

国際的な誘致競争の激化と経済的負担

FOMの発表によれば、現在F1GPの誘致を正式に表明しているのは韓国やタイなど10の国と地域に上る。モータージャーナリストの田村尚之氏(63)は、「F1の開催権料は最低でも50億円程度と推測され、会場運営費などを含めるとさらに膨大な出費になる」と指摘。自動車新興国や観光立国が国を挙げて誘致に取り組む中、日本で新たな都市に誘致するための土壌が整っているかどうか疑問を呈している。

一方、鈴鹿の日本GP運営に長年関わってきた地元関係者は、F1ドライバーから「鈴鹿は神の手で造られたコース」と称賛される歴史と伝統を強調。「鈴鹿を開催地から外すのは難しいのでは」との見解を示す。今年はホンダが5年ぶりにF1に復帰し、日本GPは特別な盛り上がりを見せている。

地域と一体となった存続への取り組み

鈴鹿サーキットの広報担当者は、「世界中のファンに愛される鈴鹿であり続け、モータースポーツ文化の繁栄や産業振興に貢献できるよう、地域とも力を合わせて取り組んでいく」とコメント。歴史あるサーキットの存続と地域経済への貢献に意欲を見せている。

今年の日本GPは3月27日に鈴鹿サーキットで開幕するが、その背景では開催地の未来を巡る静かなる攻防が続いている。国際的な誘致競争の激化と国内政治の動向が絡み合う中、日本におけるF1開催の行方は不透明さを増している。

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