イップスすらゴルフへの熱に昇華する。2位と僅差で迎えた最終ホールのティーショット。堀川が選んだクラブは不調のドライバーだった。試合になると、インパクトの瞬間に右手が意図していない動きをしてしまう。そこも計算しながら「ナイスショットじゃなくていい」と、方向だけを意識。狙い通りにピンまで140ヤード付近まで飛び、確実にパーをセーブして優勝を引き寄せた。「大好きなコースで歴史に名前を刻むことができてうれしい」。難コースを自分なりに攻略し、万感の思いに浸った。
通算16アンダーで優勝し、トロフィーを手に笑顔を見せる堀川未来夢=3日、名古屋GC和合Cで
この日は想定以上の出来。「狙っていたのは、せいぜい3か4アンダーのゴルフ」。それが7バーディー、ノーボギーで3打差を逆転して頂点に駆け上がった。うれしい誤算がパット。前半で四つスコアを伸ばし、後半も10番から4メートル、5メートル、1メートルを確実に沈めて3連続バーディーを奪った。実は好調だったパットは、いまもイップスに陥っているという。2019年から続くが、それがドライバーにも波及。その弱点を「隠す」方法を、試行錯誤しながらツアーを戦ってきた。
パターの握り方は、距離や状況によって指のかけ方や手の位置を何種類も使い分けている。「イップスをそんなに重くは考えていない。逆に熱量が上がって練習量も増えた」。マイナスにすら思わないずぶとさが強さの秘訣だ。
コロナ禍にユーチューブチャンネルを設立して、いまや登録者は43万人を超える人気者。「年間王者も狙っていきたい」と今年はゴルフの成績でも飛躍を誓う。3年半ぶりの優勝。人気と実力を兼ね備えた無二の存在に、また一歩近づいた。(鈴木弘人)
細野勇策は2位「立て直せず」
最終18番パー4。ピンまで126ヤードの2打目を約1メートルにつける鮮やかなバーディーで締めくくったが、ツアー初優勝には1打届かなかった。「バーディーが先行してすぐボギーを打ってしまい、なかなか伸ばせなかった」。細野が初の単独首位で迎えた最終日。パー3が鬼門となった。
2番でバーディーを奪って迎えた170ヤードの4番。1打目がグリーン手前のバンカーにつかまった。寄せきれずにボギーとし、7番も1打目がバンカーへ。後半も連続バーディーで追い上げた直後の17番で、またも1打目がバンカーにはまる。スコアを落とし、「あそこで勝負あった」。四つのパー3で3ボギー。「アイアンが荒れていた。立て直せず終わってしまった」
自身8回目の最終日最終組だった。上位争いに絡むたびに、左打ちの日本選手としては1991年の羽川豊以来の優勝という話題がついて回り、「早く終わらせたい」と笑う。2位は2度目。「優勝したいという思いが一番増した。状態はいいので、次の試合からも優勝争いをしていきたい」。23歳、若きレフティーの挑戦は続く。(中村彰宏)



