eスポーツでシニアが元気に!千葉で広がる高齢者向け体験会と交流の輪
コンピューターゲームをスポーツ競技として行うeスポーツを高齢者に体験してもらう催しが、千葉県内で広がりを見せています。この取り組みは、健康を維持すると同時に、参加者同士の交流を通じて孤立を防ぐことを目的としています。研究者らは「楽しみながら介護予防につながる」と大きな期待を寄せています。
ゲームで笑顔が広がる体験会の様子
「クリアできた!」「初めて遊ぶ曲なのにすごいわね!」。1月29日、東京情報大学(千葉市若葉区)の「先端データ科学研究センター」では、70代から80代の男女約10人が、楽しげな声を上げながらゲームに興じていました。プレーしているのは、曲のリズムに合わせてバチで太鼓型の機器をたたく太鼓の達人です。参加者は同じ曲で数回遊び、点数の伸びを記録しました。
プレー後は、同大学の学生を交えて語らい、ゲームの練習法やテクニックについての話に花が咲きました。「今日はたくさん失敗しちゃった」「でもだんだんうまくなってますよ」といった会話が飛び交い、和やかな雰囲気が漂います。
この体験会は「eスポーツ道場」と銘打ち、昨年11月から今月5日まで週1回のペースで開催されました。千葉市若葉区の女性参加者は「ゲームで遊ぶのも、新しくできた友達と話すのも楽しい。心身ともに健康になってきている気がする」と笑顔を見せています。
研究から見える健康効果と地域交流の可能性
体験会は、eスポーツが高齢者の認知機能や生活の質の向上に与える効果などを調べるために実施されました。研究を主導した同大学看護学科の伊藤美香助教(52)は次のように解説します。
「eスポーツは楽しみながら取り組めることが特徴です。参加者同士の交流も生まれ、加齢に伴う心身の衰え『フレイル』の予防、認知機能の改善が期待されます」
さらに、学生など若い世代とのつながりも生まれるとし、「eスポーツを地域の交流の手段として根付かせたい」と意気込んでいます。
導入しやすいeスポーツの魅力と全国への広がり
若年層の競技人口が多いeスポーツですが、近年は高齢者の健康を維持するために取り入れる動きが進んでいます。細かいルールがわからなくても参加でき、身体的な負担も軽いことから導入しやすい点が大きな要因です。
日本eスポーツ協会(東京都)の広報担当者は「年齢や性別を問わず、誰でも参加できます。見ている人も楽しむことができ、高齢者のコミュニケーションツールとして新しい魅力があります」と説明します。
同協会は昨年6月、千葉大学予防医学センターなどと共同で、eスポーツの導入を検討する自治体向けにマニュアルをまとめました。これには期待される健康効果や、高齢者でも楽しみやすいゲームの種類、全国の事例などが紹介されています。同協会の担当者は「マニュアルを通してノウハウや注意点を伝え、取り組みを全国各地で定着させたい」と話しています。
世代を超えた交流と地域での実践例
浦安市の老人クラブでは2022年頃から、レーシングゲームや太鼓の達人を使った交流会を実施しています。子供とその保護者世代も交えた大会を年1回開催し、インターネットを通して競い合えるeスポーツの特性を生かし、県外の老人クラブとも交流しています。
市内の老人クラブ連合会「ベイシニア浦安」の相原勇二会長(75)は「お年寄りの健康維持につながるうえ、若者世代とのつながりもできました。eスポーツが生きがいになっている人もいます」と語ります。
市川市でも、市内の高齢者サポートセンターで22年以降、eスポーツを使った交流会を実施。今年も高齢者向けの体験会を開く予定です。
2024年には高齢者のスポーツ・文化の祭典「全国健康福祉祭(ねんりんピック)」鳥取大会で正式種目として採用されるなど、高齢者がeスポーツを楽しむ機会は増えています。同大会に県代表として出場した長田朝子さん(79)は「成功すれば気持ちがスカッとするし、失敗しても『次こそは』と思えます。新しい仲間との交流も生まれ、とても楽しい」と魅力を語っています。



