SR渋谷、歓喜と悲しみの2日間 ロウザダ復帰で逆転勝利もランダル退団に感傷
SR渋谷、歓喜と悲しみの2日間 ロウザダ復帰とランダル退団

歓喜と悲しみが交錯したSR渋谷の2日間

バスケットボールBリーグ1部(B1)に所属するサンロッカーズ渋谷(SR渋谷)にとって、2026年3月8日と9日は、待ち望んだ得点源の復帰と、ベテラン選手との別れという、歓喜と悲しみが入り混じる特別な2日間となった。椎間板ヘルニアの手術から135日ぶりにコートに戻ったディディ・ロウザダの活躍がチームに勝利をもたらした一方で、チームを支えてきたアンドリュー・ランダルとの契約解除が発表され、複雑な感情がチームを包んだ。

135日ぶりの復帰戦でチームを救ったロウザダ

3月8日、青山学院記念館で行われた仙台89ERSとの第1戦。SR渋谷は後半だけで60得点を挙げ、見事な逆転勝利を収めた。この勝利の立役者は、パリ五輪ブラジル代表としても活躍が期待されるディディ・ロウザダだ。椎間板ヘルニアの手術を経て、約4カ月ぶりに復帰したこの試合で、チーム最多となる22得点を記録した。

「チームメートが僕を生かしてくれたんだ」と、ロウザダは喜びをかみしめた。第1クオータ終盤、この日最初の試投となる3点シュートでリングを射抜くと、直後のドライブではシュートと見せかけて2人をかわし、レイアップを沈めるなど、技術の衰えは見られなかった。コートインから約2分で5得点を記録するなど、その存在感は圧倒的だった。

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第2クオータでは激しい守備を受けながらも難しいシュートを決める力強さを見せたが、チームはミスから相手の外国籍選手に次々と得点を許し、流れを失った。第3クオータで粘るも55ー59で第4クオータを迎える苦しい状況に追い込まれた。

「正しいプレー」でチームを導いた感謝の気持ち

ここで再びロウザダがチームの勢いを加速させた。2連続の3点シュートで逆転すると、野崎零也の3点シュートもアシスト。第4クオータでの37得点を演出するなど、攻撃の起点としても大きな役割を果たした。

「正しくプレーすることを意識した」と語るロウザダ。この日は長身選手との連係プレーも多く、個人技だけではなく、チームとして戦うことを優先したからこそ「いい結果が出た」と強調した。第1戦はSR渋谷が92─82で仙台を振り切る勝利で幕を閉じた。

ヘルニアの手術は3年前に続き2回目だったが、「ポジティブに」と意欲を保ち続けた。トレーナー陣の計画に加え、今季からリハビリのコーチも務める矢代雪次郎アシスタントコーチ兼通訳の支えも大きかったという。「あの期間があったから、いい形で戻ってくることができた」と感謝の気持ちを語る26歳への歓声は、この日誰よりも大きかった。

ベテラン・ランダルの退団に監督も感傷

ロウザダの復帰という歓喜の一方で、悲しみも訪れた。今節直前の3月6日、SR渋谷は昨年11月17日に加入したアンドリュー・ランダルとの契約解除を発表した。ゾラン・マルティッチ監督は「ディディの復帰はうれしい。ただ、チームを支えてくれたスクー(ランダル)と別れなくてはならない。感傷的になってしまった」と複雑な思いを吐露した。

Bリーグ開幕前から日本でプレーするベテランであるランダルは、今季、琉球ゴールデンキングスとの短期契約後、外国籍選手が負傷したSR渋谷と契約。21試合で平均20分15秒出場し、チームの苦境を救ってきた。負傷者が復帰すれば去ることを36歳の米国人は理解していただろうが、それでも全力でクラブを愛した。

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今年1月には、クラブが独自に開催したドラフト候補向け練習会に顔を見せ、未来の戦力候補たちに真剣なまなざしを注いだ。SR渋谷の選手たちにもプロとしての経験を惜しみなく伝え、マルティッチ監督は「スクーはいろんな人を尊重できる素晴らしい人間だ。人生でこの『人間』という部分は大きい。彼はそんな姿を見せてくれた」と別れを惜しんだ。

第2戦は反撃及ばず仙台に敗戦

迎えた3月9日の第2戦。SR渋谷は第1クオータから相手の素早いパス回しやドライブに対応できず、流れを失った。仙台のセルジオ・エルダーウィッチが「シューターのタッチが良かった」とギアを上げ、前半でシュート成功率68%、3点シュートにいたっては78%という驚異的な数字で攻め立てられ、61失点を喫した。

今節は通常の土日開催でなく日・月開催の変則日程だったため、11日の北海道での試合を控え、負けを覚悟して「流す」選択肢もあった。しかしマルティッチ監督はハーフタイムに「ファンが諦めないのに俺たちが諦められるのか。ホームなんだ。誇りを持ってプレーしよう」と選手を鼓舞した。

第4クオータには司令塔のジャン・ローレンス・ハーパージュニアが「ピックがうまくいっていなかった。だから、ドライブを試みた」と積極性を見せ、派手なダンクシュートや3点シュートを演出して27得点を挙げる粘りを見せた。ランダルの献身性を形にしたようなプレーだったが、反撃が遅すぎた。SR渋谷は85─97で仙台に敗れ、連勝とはならなかった。

特別な試合を戦うSR渋谷の強い意志

別れの直後、感傷的になったからこそ、ランダルとファンのためにも負けてはいけないという思いがチームを駆り立てた。プレーオフやチャンピオンシップ進出が厳しくなっている状況だが、今季終了後の本拠地移転を控え、すべての試合が特別な意味を持つ。

ランダルが全力で愛したSR渋谷を、少しでも強く輝かせるために。歓喜と悲しみが交錯した2日間を経て、チームは新たな決意を胸に、強い意志を見せる時が来ている。今後の戦いが、この特別な季節をどのように彩るのか、ファンの期待は高まるばかりだ。