防災情報は、その意味が直感的に理解でき、住民の避難行動につながるようなものが理想的である。受け手に伝わる情報発信の仕方を工夫していくことが重要だ。
新たな防災気象情報の体系
気象庁は、河川氾濫、大雨、土砂災害、高潮の4種類の災害時に発出する警報や注意報を、5段階のレベルに分類し、新たな「防災気象情報」として再編した。最も危険度が高いレベル5は「特別警報」で、自宅なら少しでも安全な部屋に移るなど、身の安全確保が必要な状況を表す。レベル4の「危険警報」は、危険な場所から全員が避難すべき段階であり、逃げるのに時間がかかる高齢者らはレベル3の「警報」の段階で避難開始が求められる。
統一された名称とシンプルな体系
大雨や土砂災害など災害ごとにバラバラだった情報の名称を統一し、1から5のレベルと組み合わせてシンプルな体系に整理したことは評価できる。従来よりわかりやすくなったと言える。実際に住民に避難指示を出すかどうかの判断は自治体が防災気象情報に基づき行うが、住民が直接危険度を察知しやすくなれば、早めの避難行動につながるだろう。
西日本豪雨の教訓
防災情報のあり方を見直す契機となったのは、2018年の西日本豪雨だった。気象庁が大雨特別警報などを発令し、市町村も避難を呼びかけたが、切迫感が十分に伝わらず避難行動につながらず、多数の死者が出た。国や自治体が多種多様な情報を発信しても、住民が危険度を理解しきれなければ混乱を招くばかりだ。このため2021年には、違いがわかりにくいと指摘されていた「避難勧告」と「避難指示」を「避難指示」に一本化した。
情報量増加と今後の課題
観測技術の発達に伴い、局所的に発生する線状降水帯の予報などが可能になり、気象や防災に関する情報量はむしろ増加傾向にある。いざという時に命に関わる重要な情報をいかにわかりやすく伝えるかが課題だ。将来的には、警報や注意報といった用語を使わず、レベル1から5など数字のみによる表示に簡略化することも一案ではないか。
これから梅雨の季節を迎える。近年は温暖化の影響で毎年のように記録的な豪雨に見舞われ、各地で被害が出ている。住民は行政の避難指示が出るのを待つのではなく、気象庁の情報サイト「キキクル」の予測などを参考に日頃から対応を考えるなど、積極的な姿勢が大切だ。



