外来種の悪影響は多様で幅広い 「侵入メルトダウン」で後続種を助長する危険性
外来種の悪影響は多様で幅広い 侵入メルトダウンも

地域に生息する生物を捕食したり、追い払ったりするイメージが強い外来種。環境省も、在来種を食べる「捕食」、エサやすみかを奪う「競合」、交雑による「遺伝的攪乱」を主な悪影響として挙げている。しかし、実際の影響はさらに多様で広範囲にわたることが、近年の研究で明らかになってきた。

人の目にはわかりにくい影響

大阪公立大学などの研究チームは、チョウの一種が外来の食草を食べると「モテなくなる」ことを発見し、2026年3月に国際学術誌に発表した。研究の対象となったのは、環境省のレッドリストで準絶滅危惧に指定されているクロツバメシジミである。このチョウの幼虫はベンケイソウ科の植物を食べて成長するが、以前から「食べる植物によって成虫の羽の色が変わる」と指摘されていた。

平井規央教授(昆虫生態学)は「不思議な話だが、色の変化が天敵との関係や配偶行動に影響を与えるのかが重要だ」と考え、詳細な調査に乗り出した。チームは44匹の幼虫に在来種のツメレンゲを、55匹には外来種のツルマンネングサを与えて比較。いずれもベンケイソウ科の植物であり、幼虫はどちらの食草でも育ち、体重などに差は見られなかった。

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しかし、肉眼では判別しにくい羽の色の違いが、成虫の交尾成功率に影響を及ぼすことが判明。外来食草で育ったオスは、メスに対する魅力が低下し、結果として繁殖の機会を逃すことが確認された。このような「見えにくい影響」は、生態系全体に予想以上の波及効果をもたらす可能性がある。

侵入メルトダウンとは何か

さらに、外来種の問題を複雑にしているのが「侵入メルトダウン」と呼ばれる現象だ。これは、複数の外来種が相互に作用し合い、在来種への悪影響を増幅させるメカニズムを指す。例えば、ある外来植物が土壌を変化させ、別の外来種の定着を促進するケースや、外来動物が在来種を減少させた後に、新たな外来種が侵入しやすくなるケースが報告されている。

国内でも、特定の外来種が在来種を駆逐した後、さらに強い外来種が侵入して生態系が一変した事例が確認されている。この連鎖的な影響は、一度始まると制御が困難であり、従来の対策では対応しきれない課題を投げかけている。

多様な影響への対策が必要

外来種による影響は、捕食や競合といった直接的なものだけでなく、繁殖行動の変化や生態系の連鎖的な崩壊など、多岐にわたる。専門家は「目に見える影響だけでなく、潜在的なリスクにも目を向ける必要がある」と警鐘を鳴らす。今後の外来種対策には、こうした多様な影響を考慮した総合的なアプローチが求められている。

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