自民党の簗和生農林水産相による自治体の道路の「予算カット」発言は、地元に不安と疑念を広げている。簗氏に名指しされた栃木県那須烏山市と那珂川町では、予算不足で工事を止めた現場が確認された。
那須烏山市の工事現場、予算不足で延期
栃木県東部を走るJR烏山線の終着・烏山駅から車で15分ほどの「富士見台工業団地」(那須烏山市)。立ち並ぶ化学製品の製造工場などの間を縦断する市道の脇に、コーンが置かれた場所があった。その奥には、幅約2メートルの砂利が道路に沿って40メートルにわたって敷かれていた。
市建設課によると、この区間では昨年度、拡幅工事が進められていた。全長約1.3キロの工事は交付金を財源に13年前から始まり、約3割の区間が完成している。今年度は約100メートルで工事を進める予定だったが、予算が足りずに延期された。
交付金の配分は要望の51%
那須烏山市では、今年度の8事業の道路工事費として「社会資本整備総合交付金」などに約1億5千万円を要望していたが、国土交通省からの配分は70%にとどまる。工事を止めた計画の交付金に限ると、要望の51%だった。
担当者は「昨年はほぼ満額、一昨年は満額以上が配分されていた。今年は想定以上に少なく、事業を止めざるをえなかった。近年で事業を止めたことなどなかった。市の予算では高騰する工事費は捻出できず、交付金がなければ工事を進められない」と話す。
団地内は日中でも大型トラックが行き来していたが、大型車とすれ違う時は道路脇にはみ出して止まり、道を譲る場面もあった。
簗氏の選挙後の問い合わせ、住民の不信感
簗農水相は今年2月の衆院選で小選挙区で敗北し、比例復活。2市町の首長が簗氏の対立候補を応援した。簗氏は選挙後、道路予算の配分が決まる前の2月中旬に、この2市町への配分について国交省へ問い合わせたと認めたが、減額の働きかけは否定している。それでも、地元住民は不信感をぬぐえない。
製造工場に勤務する50代の男性は、簗氏に投票してきた住民として「有権者を恫喝する暴言。応援できない」と話している。