若い世代が政治に求めるのは、理念やイデオロギーよりも、暮らしの豊かさであることが、朝日新聞と大阪大学の三浦麻子教授が共同で実施したネット意識調査で明らかになった。衆院選で最も重視した政策として、経済対策が多くの世代で最多となったが、特に若い人ほどイデオロギーを気にしない傾向が顕著だった。有識者からは「旧来のイデオロギー対立は形骸化している」との指摘も出ている。
調査の概要と若者の政治スタンス
調査は投開票前後の1月23~25日、2月3~5日、2月8~11日の3回、ネット調査会社を通じて実施。全国の3416人から回答を得た。自身の政治的立場を左(0)から右(10)の11段階で尋ねたところ、10~30代で左寄り(0~4)を選んだ人は12%、中間(5)は32%、右寄り(6~10)は29%、「わからない」は27%だった。
若い人は極端な右(10)を選ぶ人がやや多かったものの、右寄り全体の割合は高齢者より低かった。他の世代と同様に中間層が多く、左寄りの人も一定数存在し、若い人が全体的に右傾化しているわけではないことが示された。
投票先と重視する政策
投開票後の調査で、18~39歳の543人のうち、投票先に自民党を選んだ人は184人(34%)で最多。国民民主党は61人(11%)、日本維新の会は34人(6%)、参政党は33人(6%)、中道改革連合は30人(6%)と続いた。
若い人が投票先を選ぶ際に最も重視したのは、減税や物価高対策などの経済政策だった。党別に見ると、自民党では経済政策のほかに「党首や候補者」「信頼感・誠実さ・正直さ」「外交・安全保障政策」「政権運営の実績」も幅広く選ばれた。
国民民主党を選んだ人の約6割が経済政策を理由に挙げ、「手取りを増やす」という公約が若者に浸透しているとみられる。チームみらいでも経済政策を理由にした人が半数を超えた。
一方、中道改革連合を選んだ人では、党への信頼感が最多で、経済政策は2番目。「理念や価値観・イデオロギー」が3番目で他党より多かったが、それでも2割弱にとどまった。
専門家の見解
批評家で日本映画大学准教授の藤田直哉氏は、「物価高騰と生活不安が深刻な時代、経済政策を着実に実行してくれる政党に期待が集まるのは当然。サプライチェーンの問題など複雑な課題に対応できる政策を掲げた政党が、合理的な判断で選ばれることが望ましい」とコメントした。
また、元厚労省官僚で株式会社千正組代表の千正康裕氏は、「若者は右肩上がりの経済成長を知らず、人口減少で明るい未来が見えにくい。雇用の流動化も進み、生活が改善するか不安を抱えている。そうした中で、短期的な経済対策を訴える政党が支持を集めやすい」と分析した。



