連載「減反は何をもたらしたのか」の第2回。日本の米価が国際水準とかけ離れて高い現状を深掘りする。農水省によると、2025年の国産米の業者間取引価格(玄米1キロあたり)は601円。一方、タイ産は63円、米国産は142円と、日本の10分の1から4分の1の水準だ。
輸出目標は高すぎる壁
政府は2024年4月に閣議決定した「食料・農業・農村基本計画」で、2024年に4.6万トンだった輸出量を、2030年には35.3万トンに増やす目標を掲げた。しかし、2025年の実績は4.8万トンとほぼ横ばいで、目標達成は困難な状況だ。
JA全農の高桑健太郎・米穀部原材料課長は「今の米価では高すぎて売れない。米価が地の底に落ちれば輸出は伸びるだろうが、生産者団体としてそれは受け入れられない」と語る。
「貧乏人は麦飯を食え」の真実
実は、日本のコメの価格は昔から高かったわけではない。戦後政治家の失言として有名な、池田勇人蔵相による「貧乏人は麦飯を食え」発言(1950年12月)は、当時のコメ価格が比較的安かったことを示している。この発言は、コメの価格が高騰していたわけではなく、むしろ麦飯を推奨することでコメの消費を抑制しようとしたものだ。
池田の持論は、コメの価格が安い時期に輸出を促進すべきだったが、実現しなかった。歴史文書からは、当時の政治圧力や農業団体の抵抗が浮かび上がる。
本連載では、減反政策の影響や輸出拡大の課題を多角的に検証する。次回は、コメ輸出の歴史的経緯と今後の可能性に迫る。



