公正取引委員会の茶谷栄治委員長は15日、生成人工知能(AI)の検索サービスが報道機関の記事を無断で利用した場合、優越的地位の乱用や取引妨害を定めた独占禁止法に違反する可能性があるとの認識を示しました。この発言は、共同通信社の加盟社経済編集責任者会議での講演中に行われました。
公取委の調査状況
公取委は現在、AI事業者や有識者への聞き取り調査を進めており、今後は報道機関を対象としたアンケートも実施する予定です。聞き取り対象には、LINEヤフー、米グーグル、米マイクロソフトなどが含まれています。これらの企業が提供するAI検索サービスは、ユーザーの質問に対してAIが会話形式で回答する仕組みで、利便性が高い一方、報道機関が記事の利用を断れない構造が問題視されています。
海外の動向と民主主義への影響
茶谷委員長は、記事の無断利用は欧州など海外の競争当局でも問題視されていると指摘し、「民主主義社会における報道の重要性を認識している」と述べました。AI検索サービスによる無断利用は、報道機関の収益や記事制作のインセンティブに悪影響を及ぼす可能性があります。
共同通信社の対応
共同通信社とその加盟社は、生成AI検索サービスを手がける米パープレキシティに対し、著作権侵害を指摘し、利用停止を求める抗議書を送付しました。パープレキシティは「懸念を真摯に受け止める」と回答しましたが、具体的な要求には応じていません。
公取委は、昨年12月からこの問題に関する調査を開始しており、今後の動向が注目されます。



