連載:そもそも解説 深掘り自民と維新に「痛み」少なく 衆院議員の「比例45減」まるわかり
2026年5月22日 7時00分
この国会で「衆院議員の定数1割削減」が焦点となっています。なぜ、今なのか。与党が検討中の「比例区45減」だと、どの党にとって痛みが少ないのか――。衆院議員を選ぶ側の私たちが知っておくべき情報をまとめました。
この記事が解説するポイント
- ①衆院の比例区って?
- ②なぜ定数削減か
- ③ブロックごとの定数の変化
- ④各党の「痛み」は?
- ⑤本当に実現するのか
①衆院の比例区って?
衆院選で投票しようとすると、小選挙区と比例区の2枚の投票用紙を渡されます。小選挙区は全国を289の選挙区に区切っており、それぞれの選挙区で1人の当選者を選ぶために票を投じます。「1位が勝ち抜け」なので、大きな政党が有利になりがちです。
もう一つの比例区は全国を「東北」「近畿」など11ブロックに分けており、政党に投票します。こちらで当選する衆院議員は176人。ブロックごとに6~28人が当選できるので、小さな政党も当選者を出しやすい仕組みです。
この選挙制度は「小選挙区比例代表並立制」と呼ばれ、1996年の衆院選から導入されました。2大政党による政権選択が起きやすいとされる小選挙区制と、少数政党も含めた民意を反映しやすい比例代表制を組み合わせています。
②なぜ定数削減か
自民党と日本維新の会は2025年10月に取り交わした連立政権の合意書に「1割を目標に衆院議員定数を削減」と盛り込みました。維新は「身を切る改革」を党の看板政策に掲げてきたため、与党として重要課題に位置づけるよう主張しました。衆院議員の定数は465なので、ほぼ1割となる45人の衆院議員が減ることになります。
自民と維新は25年の臨時国会に定数削減の法案を提出しました。与野党の話し合いが1年たってもまとまらなかった場合、小選挙区25、比例区20を自動的に削減するものでした。しかし、衆院で多数だった野党から理解を得られず、衆院解散で廃案となりました。
与党は26年の衆院選で4分の3の議席を確保。今度は比例区のみでの45削減が検討されています。
③ブロックごとの定数の変化
比例区45減が実現した場合、全国11の各ブロックの定数はどう減るのか。朝日新聞社は2020年の国勢調査をもとに、人口比を定数に反映しやすい「アダムズ方式」でシミュレーションしました。25年の国勢調査によって、試算は変わりうることに注意が必要です。
もっとも影響を受けたのは近畿ブロックで、定数が28から22に減少。次いで東京ブロックが17から13に、南関東ブロックが22から18に減る見込みです。一方、北海道や東北など人口減少が著しい地域では、削減幅が比較的小さくなっています。
④各党の「痛み」は?
比例区45減が実現した場合、各党の議席数にどの程度影響が出るのか。朝日新聞の試算では、自民党は現在の比例議席から約15議席減、日本維新の会は約8議席減と見込まれます。両党とも議席を減らすものの、与党としての過半数維持には大きな影響はないとみられます。
一方、野党では立憲民主党が約10議席減、国民民主党が約4議席減、共産党が約3議席減と試算されます。特に小政党にとっては、議席喪失のリスクが高まります。例えば、参政党やチームみらいなど、比例区で辛うじて議席を獲得している政党は、定数削減によって議席を失う可能性があります。
このように、与党である自民と維新は相対的に「痛み」が少なく、野党小政党が大きな打撃を受ける構図です。
⑤本当に実現するのか
与党は26年の通常国会で法案を成立させる方針ですが、野党からは「選挙制度改革には与野党合意が必要」との反発があります。また、自民党内からも「小選挙区削減なしでは不公平」との声が上がっており、調整は難航が予想されます。
さらに、26年秋には国勢調査の結果が公表される予定で、それに基づく定数配分の見直しも必要になります。与党が強行採決に踏み切るのか、野党との合意を目指すのか、今後の動向が注目されます。



