埼玉県内で最初の鉄筋コンクリート造りの校舎として建設された旧草加尋常高等小学校の建物が、今年9月に完成から100周年を迎える。この建物は約半世紀にわたり学び舎として使用された後、現在は草加市歴史民俗資料館として市民に親しまれている。市役所1階ロビーでは、29日まで建物の歴史を振り返る写真パネル展が開催されている。
関東大震災が建設の契機に
資料館の建物が完成したのは大正時代末期の1926年9月。前年に草加尋常高等小学校の木造2階建て校舎が一部焼失する火災があり、新しい校舎を建設することになった。当時、学校の校舎は木造が一般的だったが、1923年の関東大震災で市内でも多くの建物が倒壊した経験から、地域住民は耐震・耐火性に優れた鉄筋コンクリート造りでの建設を強く望んだ。
県の却下を乗り越え、住民の力で実現
しかし、木造の2倍以上の費用(当時の金額で4万4100円)がかかることなどを理由に、県は計画を却下。そこで地元住民らは寄付を募り、建設費用のほとんどを集めて完成にこぎ着けた。資料館の細川昭二館長は「一度却下されても、地元で費用を捻出して建設した。子どものために安全な学校を、という地域の人々の強い思いを感じることができる」と語る。
建築家・大川勇の設計
旧校舎は同校を卒業した建築家・大川勇(1891~1963年)が設計。山型の屋根と左右対称の2階建てのデザインが特徴で、六つの教室を備えていた。鉄筋コンクリートの校舎は当時珍しく、県外からも多くの人が見学に訪れたという。
学校から資料館へ、そして国の文化財に
学校はその後、草加国民学校、草加小学校に改称。校舎は老朽化に伴い1980年にその役目を終え、1983年に市歴史民俗資料館として新たなスタートを切った。資料館は旧教室を展示室に改装し、市の歴史や伝統、産業などを紹介。一部の教室には別の小学校で使っていた昔ながらの黒板も展示している。市民講座や体験教室も開催しており、来館者数は延べ約35万人に上る。建物は2008年、国の有形文化財に登録された。
100周年記念イベントも企画
完成100周年を記念して、市では6月以降も各種イベントを企画。9月には小学校として使われていた時代の資料などの展示を予定している。



