北本市広報「きたもと」が全国一の秘訣 市民と向き合う秋葉恵実さんの挑戦
自治体広報の甲子園と称される全国広報コンクールにおいて、最高賞である内閣総理大臣賞を受賞するなど、埼玉県内でも高い評価を獲得している北本市の広報紙「広報きたもと」。その質の高い紙面を支える中心人物が、広報担当となって8年目を迎える秋葉恵実さん(36)である。秋葉さんは「市民と行政の信頼関係の構築」こそが自治体広報の本質的な役割であると考え、カメラを手に市内を駆け回り続けている。
県内でも圧倒的な実績を誇る「広報きたもと」
「広報きたもと」は埼玉県広報コンクールにおいても上位常連であり、今年の県審査では広報紙の市部門など3部門で1位を獲得した。3部門同時での1位選出は初めての快挙である。中でも秋葉さんが深く関わった2025年10月号の里山ライフ特集は特に力作として知られている。表紙を含む全15ページにわたり、里山の保全活動に取り組む団体や個人に密着取材を実施。雑木林と共生する農家の思いや、遊休農地で米作りに励む人々の豊かな暮らしを丁寧に伝えた。
秋葉さんは「こつこつと保全活動に取り組む人たちに、今のタイミングで光を当てたかった」と語る。この特集をきっかけに、掲載された人々同士が新たな交流を始め、地域内で新たな関係性が築かれたことにも大きな喜びを感じているという。
大学時代から培った「伝えること」への情熱
秋葉さんは大学時代のゼミで選挙や政治について学び、記者の話を聞く機会を通じて、取材や情報伝達に強い興味を抱くようになった。北本市役所に入庁して5年後に念願の広報担当に就任すると、全国広報コンクールで上位常連の他自治体の広報内容に刺激を受け、その違いを徹底的に研究。特に取材における市民との向き合い方の違いを痛感したという。
そして2021年7月号の、市民が集える「第3の居場所」をテーマにした特集が高評価を得て、全国広報コンクールの内閣総理大臣賞を受賞。「一つのテーマで幅広い角度から取材ができた。紙面に載せる一つ一つの言葉も、印刷所に送る直前まで考え抜いた」と振り返る。さらに秋葉さんが担当になってからは、デザインを含む広報全般を自前で制作するようになり、編集委託の経費など最大約600万円の削減を実現した。
市民との関係構築にこだわる取材姿勢
現在も秋葉さんは、一つの取材でじっくりと相手と向き合い、信頼関係を築きながら撮影に臨むというこだわりを貫いている。今後については、以前に掲載した障害者に関する特集が好評だったことを受け、「福祉の取り組みやネットワークを広報の力で可視化し、応援の輪を広げるサポートをしたい」と意気込みを語る。
一方で、里山ライフ特集で交流を深めた関係者たちが3月にトークイベントを開催するなど、広報が持つ新たな可能性も実感している。「広報は市民と行政の間だけでなく、市民と市民の間の関係性をつくる可能性があるメディアだと気付いた。何かやりたい人の仲間づくりを後押しすることも、広報の重要な役割だと考えている」と秋葉さんは語る。
秋葉恵実さんのプロフィール
秋葉恵実(あきば・めぐみ)
- 1990年、茨城県八千代町出身
- 埼玉大学経済学部卒業後、2013年に北本市役所に入庁
- 産業観光課などを経て、2018年から市の広報担当に
- 2023年の全国広報コンクールで内閣総理大臣賞を受賞
- 他自治体の広報担当者との交流も積極的に行っている
- 現在の所属は市長公室シティプロモーション・広報担当
- 趣味はBリーグ(バスケットボール)観戦



