給食で紡ぐ故郷への思い 葛尾村の栄養教諭が郷土愛を育む
「給食を通じて、村で生きることを誇りに思ってほしい」と語るのは、福島県葛尾村唯一の小中学校で栄養教諭を務める金丸浩枝さん(44歳)です。同村出身の金丸さんは、地元産の食材をふんだんに使った給食メニューを開発し、子どもたちの古里への愛着を深めようと日々奮闘しています。
葛尾村産食材のフルコース給食
金丸さんが提供する給食は、まさに「葛尾村フルコース」と呼べる内容です。具体的なメニューとしては、葛尾産食材をたっぷり使ったスパイスカレー、葛尾産野菜のサラダにえびマヨソースをかけたもの、手作りの凍みチョコ蒸しパン、そして牛乳が並びます。これらの料理には、村産の鶏肉やトマト、様々な野菜が使用されており、子どもたちに地元の味を直接届けています。
原発事故からの復興と郷土愛の重要性
葛尾村は、東京電力福島第一原子力発電所事故に伴う全村避難を経験し、現在は復興に向けて歩みを進めています。しかし、避難を機に地元を離れた人々も少なくなく、村の未来を担う子どもたちにとって、故郷への愛着を育むことは極めて重要な課題となっています。
金丸さんはこの現状を踏まえ、「郷土の食材でおいしい給食を食べた記憶が、子どもたちの心に深く刻まれ、将来にわたって郷土愛につながってほしい」と強く願っています。給食の時間が単なる食事の場ではなく、地域の文化や歴史を学び、誇りを感じる機会となることを目指しているのです。
食材へのこだわりと教育的効果
金丸さんの給食づくりには、以下のような特徴と意図があります。
- 地元産食材の徹底活用:可能な限り葛尾村で生産された食材を使用し、地域の農業を支えながら、子どもたちに「地元の味」を伝えています。
- メニューの創意工夫:伝統的な料理だけでなく、スパイスカレーやえびマヨソースなど、子どもたちが親しみやすい現代的な味付けも取り入れ、食への興味を引き出します。
- 食育を通じた学び:給食の時間に食材の産地や調理法を説明し、食べ物がどこから来るのか、どのように作られるのかを理解させることで、感謝の気持ちと郷土への関心を高めています。
この取り組みは、単に栄養を摂取するだけでなく、食を通じて地域の復興と未来を考えるきっかけを提供しています。金丸さんは、「給食が子どもたちにとって、葛尾村で生きる喜びと自信を育む場になってほしい」と語り、今後も郷土愛を育むメニューの開発に力を注いでいく方針です。
葛尾村の給食は、原発事故という苦難を乗り越え、新たな地域の絆を築くための重要な役割を果たしています。金丸さんの奮闘は、食が持つ力を最大限に活かし、次世代に故郷への誇りを継承する貴重な実践として、村の復興を支え続けています。



