政府は18日、高性能な新型AI(人工知能)「クロード・ミュトス」がサイバー攻撃に悪用されるリスクに備え、関係省庁による初会合を開催した。会合では、重要インフラ分野における官民連携を促進し、システムの脆弱性を早期に発見・修正するための対応策が取りまとめられた。
ミュトスとは何か
ミュトスは、米国の新興企業アンソロピックが開発したAIシステムである。従来のAIと比較して、システムの弱点を特定する能力が劇的に向上しているとされる。その潜在的な危険性から、開発元のアンソロピック社は一般公開を見送る決定を下した経緯がある。
政府の対応策の概要
政府の対応策は、まず金融、情報通信、物流、交通などの重要インフラ事業者に対して注意喚起を実施することを柱としている。さらに、政府は事業者から報告されるインシデント情報を分野横断的に集約し、関係者間で共有する仕組みを構築する。
官民協議の拡大
金融庁や経済産業省で既に先行している官民協議の取り組みを、他の重要インフラ分野にも拡大する方針だ。これにより、各分野の特性に応じた対策を迅速に策定できるようにする。
システム開発者への注意喚起
重要インフラを支えるシステムの開発者に対しては、高性能AIを活用しながらも、システムの脆弱性を早期に発見するよう注意喚起を行う。開発段階からセキュリティを組み込む「セキュリティ・バイ・デザイン」の考え方を浸透させる狙いがある。
国際連携の推進
政府は外国政府やAI開発者との連携も強化する。特に、AIの安全性評価を担当する政府機関「AIセーフティ・インスティテュート」(AISI)と連携し、情報提供やガイドラインの策定を進める方針だ。国際的なルール作りにも積極的に関与する。
会議の様子
会議のトップを務める松本尚サイバー安全保障相は、「サイバー攻撃のスピードが劇的に増加するなど、新たな脅威に直面している」と述べ、「実効的な対応を行うことが重要だ」と強調した。
会議には、金融機関や電力会社などの重要インフラ事業者を所管する金融庁、経済産業省、総務省に加え、サイバー攻撃に対応する防衛省や警察庁などの幹部が出席した。
重要インフラ15分野
政府が認定する15分野の重要インフラは以下の通り(カッコ内は所管省庁)。
- 金融(金融庁)
- 情報通信(総務省)
- 政府・行政サービス(同)
- 医療(厚生労働省)
- 電力(経済産業省)
- ガス(同)
- 化学(同)
- クレジット(同)
- 石油(同)
- 航空(国土交通省)
- 空港(同)
- 鉄道(同)
- 水道(同)
- 物流(同)
- 港湾(同)
※「重要インフラのサイバーセキュリティに係る行動計画」に基づく。



