生物医学論文で「ニセ引用」横行、AI関与か
専門家の審査を経て学術誌に掲載された生物医学系の論文で、実在しない研究を引用文献として示しているケースが多数あることが、米コロンビア大学の研究チームの調査で明らかになった。調査結果は8日までに英医学誌ランセットに発表された。
チームは人工知能(AI)を用いて、直近約3年間分の論文を分析。約250万本の論文のうち2810本で、実在しない引用文献(ニセ引用)を検出した。ニセ引用は2024年半ばから急増しているという。
背景に生成AIの普及と粗悪論文業者
研究チームは、誤情報を出力しうる生成AIの普及や、業績の水増しを助ける粗悪論文業者の活動が背景にあるとみている。ニセ引用を含む論文の98.4%は訂正も撤回もされておらず、すでに後続の論文に引用されたものもあった。医療現場で誤った判断を導く恐れもあるとして、チームは出版社に検証と対策を求めた。
調査の詳細
調査では、生物医学系の公開論文を集めた米国のデータベースに、2023年1月から2026年2月までに登録された論文約250万本と、約1億2600万件の引用を対象に分析。誤記と思われる例を除き、2810本の論文で4046件のニセ引用を特定した。中には引用文献の6割が存在しない極端な例も見つかった。



