ロシア、イラン支援に及び腰 ウクライナ侵略巡りトランプ政権との関係重視か
米軍とイスラエル軍によるイラン攻撃を受けて、ロシアは形式的な批判を行ったものの、中東の友好国イランへの具体的な支援には動いていない。この動きは、ロシアのウクライナ侵略を巡り、ウクライナに譲歩を迫る米国のトランプ政権の姿勢を変えさせないことを最優先しているためとみられる。
プーチン大統領の弔電と外務省の声明
露大統領府によると、プーチン大統領は1日、イランの最高指導者アリ・ハメネイ師の殺害を受けて同国のマスード・ペゼシュキアン大統領に弔電を送り、哀悼の意を伝えた。プーチン氏は弔電で、ハメネイ師が「あらゆる道徳と国際法の規範を踏みにじって殺害された」としたが、攻撃した米国への直接言及はなかった。一方、露外務省は声明で、米国とイスラエルを非難している。
トランプ政権との関係維持を重視
米国を名指しで批判するのが外務省レベルにとどまるのは、南米の友好国ベネズエラのマドゥロ前大統領が米国に連行された際と同様の対応だ。これは、ウクライナとの和平交渉を仲介するトランプ政権との関係維持を重視しているためと推測される。ロシアは、ウクライナ侵略を巡る国際的な圧力を緩和するため、トランプ政権との対話を優先している模様である。
ロシアとイランの戦略的関係
しかし、ロシアとイランは昨年1月に軍事や経済に関する協力を強化する「包括的戦略パートナーシップ条約」に署名したばかりだ。イランの現体制が崩壊すれば、ロシアはシリアのアサド政権、ベネズエラのマドゥロ政権に続き友好的な政権を失うことになる。このため、ロシアの及び腰な対応は、短期的な外交戦略と長期的な同盟関係のバランスに悩む姿を浮き彫りにしている。
国際社会では、ロシアのイランへの支援不足が中東情勢に与える影響が懸念されており、今後の動向が注目される。ウクライナ侵略を巡る国際政治の複雑さが、ロシアの外交判断に影を落としていると言えるだろう。



