成年後見制度の抜本見直しへ、人権問題を「三つの『でも』」で解説
2026年4月3日、成年後見制度の見直しを検討する法案が国会で審議される中、制度の問題点を「三つの『でも』」として指摘する早稲田大学法学学術院の山野目章夫教授へのインタビューが注目を集めています。山野目教授は、法制審議会(民法部会)の部会長を務め、見直し案の策定に携わりました。
制度の現状と課題
成年後見制度は、認知症などで判断能力が十分でなくなった人の生活や財産管理を支援することを目的としています。しかし、いったん利用すると亡くなるまでやめられないといった課題が長年指摘されてきました。山野目教授は、これらの問題を「三つの『でも』」として簡潔に説明しています。
まず、「本人に無断『でも』」は、成年後見人が本人と会わずに代理決定を行う権限が強すぎる点を指摘します。現在の制度では、没交渉のまま代理行為を行っても必ずしも違法ではなく、本人の意思が無視されるリスクがあります。
次に、「なん『でも』できる」は、成年後見人に与えられる権限の包括性が問題です。本人に関わるほぼすべての事柄について広範な代理権があり、本人の行為を取り消すことも可能です。これにより、制度利用者は死ぬまで自分の意思で契約などを結べなくなる可能性があります。
最後に、「いつま『でも』続く」は、事実上の終身制であり、柔軟性に欠ける点を強調しています。
人権上の重大な問題
山野目教授は、「三つの『でも』」がいずれも人権上の重大な問題を引き起こすと指摘します。強い代理権が必要なケースも例外として存在するかもしれませんが、すべての人に一律に適用される現行制度は、「Sサイズの服がちょうどよい人にも、LLサイズの服を無理やり着せてしまっているようなもの」と例え、個別のニーズに応じた柔軟な制度への転換を訴えています。
見直しの方向性
見直し案では、「必要な事柄・期間だけ」の利用を可能にする方向性が示されています。これにより、成年後見制度がより柔軟で利用者本位のものへと変革される見込みです。山野目教授は、制度改革が認知症や判断能力の低下を抱える人々の尊厳と権利を守る重要な一歩になると期待を寄せています。
この見直しは、高齢化社会が進む日本において、社会保障や人権問題に関わる重要なテーマとして、今後も議論が続けられることでしょう。



