ホルムズ海峡を通れずに引き返した中古ランドセルが、東京都大田区の倉庫に眠っている。中東情勢の緊迫が、国際支援の現場にも影を落としている。
ランドセル約9千個が届けられず
国際協力NGOのジョイセフは国内で役目を終えたランドセルを集め、アフガニスタンなどの子どもたちに送ってきた。2004年から始め、これまで届けたのは約30万個。それが、昨年分と今年分の輸送ができずにいる。
これまでは日本から船でパキスタンを経由、陸路でアフガニスタンへ送られてきた。しかし、2025年10月にパキスタンとアフガニスタン国境が軍事衝突により閉鎖。パキスタンから航路でホルムズ海峡を通りアラブ首長国連邦(UAE)、そしてイランの港に輸送し、陸路でアフガニスタンへ送るルートに切り替えた。
ところが2月の米国によるイラン攻撃後、ホルムズ海峡周辺の情勢が悪化。昨年送った約6千個が安全上の理由から、経由地のパキスタンから国内に戻ってきた。加えて今年受け付けた分の約3千個も、都内の倉庫に積み上がったまま。ジョイセフのスタッフ、佐藤文枝さんは「今までにない状況に困惑している」と話す。
ランドセルが持つ特別な意味
ジョイセフによると、アフガニスタンの子どもたちにとって、ランドセルは単なる学用品ではない。貧困や慣習の中で学校に通えない子どもが多く、特に女の子は幼くして結婚させられることが多い。ランドセルを届けることで「これをもらったから学校へ通いたい」と親に訴えるきっかけにもなるという。
支援者から送られてきたランドセルの中には、折り鶴やメッセージが添えられているものもあり、日本の子どもたちの思いも込められている。
今後の支援の行方
ジョイセフは今後、ホルムズ海峡周辺の状況を注視しながら、子どもたちへの支援を何らかの形で続けていくという。佐藤さんは「アフガニスタンの子どもたちのために、希望の光は閉ざしたくない」と話している。
アフガニスタンにはランドセルと一緒に文房具も届けられる予定だったが、現在はすべての輸送が停止している。NGOは代替ルートの確保や、他の支援団体との連携も模索している。



