中東危機で「不確実性が新たな日常に」 IMF専務理事が世界経済に警鐘
国際通貨基金(IMF)のクリスタリナ・ゲオルギエバ専務理事は2026年3月13日、東京都内で朝日新聞などのインタビューに応じ、イラン情勢の緊迫化が世界経済に与える影響について深刻な懸念を示した。ゲオルギエバ氏は「影響は明らかにマイナスだ。各国経済の強靱性が今、試されている」と指摘し、「不確実性が新たな日常になる。政府はあらゆる危機に備えることが必要だ」と語った。
ホルムズ海峡閉鎖で原油価格が乱高下
現在、米国・イスラエルとイランの間で軍事攻撃の応酬が続き、エネルギー海上輸送の要衝であるホルムズ海峡は事実上の閉鎖状態が継続している。この状況を受けて原油価格は連日乱高下を繰り返しており、3月9日には米国産WTI原油の先物価格が一時1バレル=119ドル台に急騰。3月12日も100ドルに迫る高値で推移するなど、市場は極めて不安定な状況が続いている。
ゲオルギエバ専務理事は「各国がエネルギー安全保障の面で深刻な危機に直面している」と強調。IMFの試算によれば、原油価格が10%上昇し、その状態が1年の大半を通して続いた場合、世界の物価は0.4ポイント押し上げられ、生産高は0.1~0.2%減少するとの見通しを示した。
日本の財政への影響と補助金政策への注文
原油価格の高騰を受け、日本では高市早苗政権がガソリン補助金を復活させる方針を打ち出している。しかし、借金依存度が高く、政府債務が世界最悪水準にある日本の財政にとって、これはさらなる重荷となる可能性が高い。
ゲオルギエバ氏はこの点について「日本の政府債務は近年、対GDP比で減少傾向にあることは評価できる。しかし、補助金政策を実施する際には、ターゲットを絞って効果的に行うことが極めて重要だ」と指摘。財政規律を維持しつつ、必要な支援を的確に行うことの必要性を訴えた。
エネルギー安全保障と世界経済の行方
中東情勢の緊迫化は、単なる地域紛争を超えて、世界全体のエネルギー供給と経済安定に直接的な影響を及ぼしている。ゲオルギエバ専務理事は、各国政府に対して以下の点を強く求めた。
- エネルギー供給源の多様化を急ぎ、安全保障を強化すること
- 物価上昇圧力に対処するため、金融政策と財政政策のバランスを慎重に取ること
- 社会的弱者への支援を重点的に行い、経済的ショックを緩和すること
今回のインタビューで明らかになったのは、地政学的リスクが経済の根幹を揺るがす時代に入ったという現実だ。不確実性が常態化する中で、各国の政策対応力がこれまで以上に問われることになる。



