ホルムズ海峡の機雷危機が緊張続く、長期化で「米国の敗北」懸念強まる
海上輸送の要衝であるホルムズ海峡において、イランの機雷に対する警戒感が依然として高まっている。米国のトランプ大統領は安全性を強調しているものの、船舶による航行時の懸念を完全に払拭できていない状況だ。この機雷の不安に対処できない場合、開戦した米政権は苦しい立場に追い込まれる可能性がある。
トランプ大統領の主張と現実のギャップ
トランプ大統領は11日、ホワイトハウスで記者団に対し、「我々は一夜にしてイランのほぼ全ての機雷敷設艦を取り除いた」と述べた。これは、米軍の攻撃によってホルムズ海峡での機雷敷設リスクを抑え込んでいるという主張である。
しかし、米国防総省傘下の情報機関である国防情報局(DIA)が2019年にまとめた報告書によると、イランは約5000発の機雷を保有しており、敵への対抗策として、機雷を搭載した小型艇が分散してホルムズ海峡やペルシャ湾に展開する「海上ゲリラ戦略」を想定しているとされる。この戦略は、機雷によって航行への不安をあおることを狙いとしている。
イランの原油輸出と機雷の脅威
イランはホルムズ海峡を事実上封鎖し、民間船舶の航行は激減している。それにもかかわらず、米紙ウォール・ストリート・ジャーナルは10日、イランの直近6日間の原油輸出量が1日平均210万バレルで、200万バレルだった2月の平均を上回ったと報じた。これは、イランの外貨獲得手段である中国への原油輸出が続いていることを示唆している。
機雷は通常戦力で劣る国にとって「最後の切り札」とされる。陸上の地雷と同様に撤去が難しく、戦闘終結後も地域一帯への立ち入りができなくなる危険性がある。過去の事例では、朝鮮戦争(1950~53年)では北朝鮮軍が朝鮮半島沿岸に機雷を敷設し、撤去作業にあたった日本側に死者も出た。また、イラン・イラク戦争(80~88年)でもペルシャ湾に敷設され、民間船舶や米軍の艦艇が被害に遭っている。
米側の対応の不確実性と懸念の声
米側の対応はまだ定まっていない。トランプ大統領は9日の記者会見で、ホルムズ海峡を航行する船舶について、「もし必要なら必ず護衛する」と述べ、米海軍による安全確保を約束した。しかし、その実現のメドはついていない。
ロイター通信によると、米海軍は護衛を要求する海運業界に対し、「現時点では攻撃を受けるリスクが極めて高い」との理由で拒否しているという。このような状況から、トランプ氏に近いニュート・ギングリッチ元下院議長は9日のFOXニュースの番組で、ホルムズ海峡で現在の状態が長引いた場合、米国民を含む世界全体が原油価格の上昇に反応すると指摘し、「この戦争は事実上、米国の敗北となる」と警告した。
ホルムズ海峡の機雷危機は、単なる地域紛争を超え、国際的なエネルギー供給と安全保障に深刻な影響を及ぼす可能性がある。トランプ政権の対応如何では、米国の威信や経済的損失につながるリスクが高まっている。



