トランプ大統領の「戦争ほぼ完了」発言に市場安定化の意図か
米国のトランプ大統領が対イラン軍事作戦の終了が間近であることを示唆した発言について、市場の動揺を抑える意図があったとの見方が強まっている。しかし、トランプ氏が掲げてきた目標の達成は限定的であり、イラン側は戦闘継続の意向を示していることから、戦闘終結への道筋は依然として不透明な状況が続いている。
市場への即時影響と政治的意図
米CBSニュースが「戦争はほぼ完了した」とするトランプ氏のインタビューを速報したのは9日の米東部時間午後3時頃であった。この発言を受けて、急騰していた原油価格は大きく下落し、株価は一気に上昇する動きを見せた。トランプ氏はその後の記者会見でも、「軍事目標をほぼ達成したと言えるかもしれない」と述べ、終戦間近との印象づくりに努めた。
トランプ氏はこれまでにも、市場の否定的な反応を受けて強硬な対外政策を撤回・修正してきた経緯がある。昨年には中国に対する追加関税を大きく引き上げた後、市場で株式、債券、通貨がそろって下落する「トリプル安」に見舞われ、関税率を一気に引き下げている。
中間選挙を控えた国内事情
11月に迫った中間選挙を控えた国内事情も背景にある。米紙ウォール・ストリート・ジャーナルによると、複数の側近が最近、トランプ氏に軍事目標はほぼ達成されたと説明し、戦闘終結に向けた出口戦略を示すよう促していたという。
トランプ氏の岩盤支持層の多くは作戦を支持しているとされるが、長期化すれば原油高に伴う物価上昇の影響で支持を失う可能性がある。ロイター通信が9日に発表した世論調査では、イラン攻撃を支持したのは全体の29%にとどまっており、国民の間には慎重な見方も根強い。
目標達成の限界と懐疑的見方
しかし、トランプ氏は作戦終了時期を明示できていない。目標のうち、イランの弾道ミサイル無力化や海軍壊滅は達成に近いとみられるが、体制転換などの見通しは立っていない。トランプ氏は、最高指導者を継承したモジタバ・ハメネイ師が核開発停止などの要求に応じない場合、殺害を支持する考えを周囲に伝えたとも報じられており、作戦終結に懐疑的な見方がある。
一方で、市場や中間選挙のほか、作戦継続に必要な弾薬の確保といった要因などから、作戦終了を早めざるを得ない可能性も指摘されている。今後の展開には、以下の要素が大きく影響するとみられる。
- イラン側の戦闘継続意向と対応
- 原油価格を中心とした市場の反応
- 中間選挙を控えた国内世論の動向
- 軍事作戦に必要な資源の確保状況
トランプ政権の対イラン政策は、短期的な市場安定化と長期的な戦略目標の狭間で揺れ動いており、今後の発言と行動が注目される。



