<朝晴れエッセー>お地蔵さんごめんなさい
2026年5月21日 05:00
80年前の思い出
当時、小学6年生の義男ちゃんと茂ちゃん、そして5年生の僕の3人が、村のお地蔵さんの掃除当番を任された時のことです。お地蔵さんは、私たちの背丈ほどの高さのほこらの中に祭られていました。
掃除を始めて間もなく、屋根に上がっていた茂ちゃんが「刺されたー」と叫びながら、僕の目の前に落ちてきました。鬼瓦の裏にあったハチの巣に触れてしまい、ほっぺたを刺されたのです。
義男ちゃんが「ションベンかけたれ!」と大声で命令しました。「虫刺されにはオシッコが効く」と大人から聞いていた僕は、ためらうことなく、うずくまっている茂ちゃんの左頬めがけて勢いよくオシッコをかけました。しぶきがお地蔵さんの顔にもかかりましたが、構わずかけ続けました。
効かなかったオシッコ
しかし、効き目はなく、茂ちゃんの頬はみるみる腫れて、ポパイのような顔になってしまいました。茂ちゃんは泣きべそをかきながら家へ帰って行きました。僕は茂ちゃんのことが心配でたまらず、お地蔵さんの頬にかかったオシッコを丁寧に手拭いで拭き取りました。
80年後の現在
あれから80年。現在、僕はひどい左顔面神経痛に悩まされています。わが家の前の観音山公園に祭られているお地蔵さんに痛みの緩和をお願いしていますが、効き目がありません。きっとあの時のお地蔵さんが怒っているに違いないのです。
若林正造(90) 大阪府枚方市



