イラン最高指導者ハメネイ師死亡、革命体制に重大な転換点 後継者不在で集団指導体制へ
イラン最高指導者ハメネイ師死亡、後継者不在で集団指導体制へ

イラン最高指導者ハメネイ師が死亡、革命体制に重大な転換点

イラン国営テレビは3月1日、米軍とイスラエル軍による軍事攻撃により、最高指導者アリ・ハメネイ師(86歳)が死亡したと伝えた。ハメネイ師は、1989年に初代最高指導者ホメイニ師の後を継いで以来、約38年にわたり国防を含む国家の頂点に君臨してきた体制の要であり、イランのイスラム革命体制は重大な転換点を迎えている。

後継者不在で集団指導体制へ移行

ハメネイ師の死が直接的に体制崩壊につながる可能性は低いとされるが、確定的な後継者は存在しない。外交・安全保障政策を決定する最高安全保障委員会のアリ・ラリジャニ事務局長は国営テレビに、最高指導者の後任が決まるまでの暫定措置として憲法が定める「指導評議会」を設置すると明らかにした。政府は40日間を服喪期間と定めた。

イラン憲法では、最高指導者が死去した場合、イスラム法学者らで構成する「専門家会議」(定数88)がイスラム法学者の中から後継者を選出すると規定されている。後継者が決まるまでは、大統領、司法府長官、護憲評議会のイスラム法学者で構成する指導評議会が職務を代行し、事実上の集団指導体制をとることになる。

国防トップも攻撃で死亡、報復継続を表明

国営通信などによると、精鋭軍事組織「革命防衛隊」のモハンマド・パクプル司令官をはじめ、最高指導者の上級顧問で国防評議会の事務局長アリ・シャムハニ氏、国防相、軍統合参謀長ら国防のトップも会議中に攻撃されて殺害された。ラリジャニ氏は「試練を乗り越え、侵略者に壊滅的な打撃を与える」と報復の継続を表明した。

イスラエル軍の発表によると、ハメネイ師がイランの首都テヘランの指導部施設に政権幹部とともにいた際に空爆を実施した。イスラエルメディアによると、米国のトランプ大統領とイスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相には、がれきから回収されたハメネイ師の遺体の写真が示されたという。

米トランプ氏が体制転覆に意欲、軍事攻撃継続を宣言

トランプ氏は2月28日、自身のSNSで、「歴史上、最も邪悪な人物の一人であるハメネイが死亡した」と述べ、「イランの人々だけでなく、米国、世界の人々にとっての正義の実現だ」と強調した。さらに、「イラン国民が祖国を取り戻す唯一にして最大の機会だ」と訴え、体制転覆に強い意欲を示している。

米軍は艦艇から巡航ミサイル「トマホーク」などを発射し、イランの軍事施設を爆撃している。イスラエル軍は2月28日夜、初日の攻撃で戦闘機約200機が防空施設やミサイル発射施設など約500か所を攻撃したと発表した。トランプ氏は攻撃について「1週間、あるいは必要な限り途切れることなく続ける」と述べた。

この攻撃により、イランの政治・軍事体制は深刻な打撃を受け、中東情勢はさらに緊迫化する可能性が高い。後継者不在の状況下での集団指導体制の運営が、イランの国内安定と国際関係にどのような影響を与えるかが注目される。