米連邦最高裁の判決で相互関税が違法認定、トランプ大統領が新たな関税措置を発動
米連邦最高裁が、米国が各国に課していた相互関税を違法とする判決を下したことを受け、トランプ大統領は新たな関税措置を発動しました。この措置は、通商法第122条を根拠としており、日本を含む全世界を対象に10%の関税を課すものです。さらに、今後は15%に引き上げることも表明されており、国際貿易環境に大きな波紋を投げかけています。
通商法122条の適用と政権の対応
通商法122条は、巨額かつ深刻な国際収支の赤字に対処するため、大統領が関税を引き上げることを最長150日間の制約付きで認めています。米政権はこの期間中に、別の法律を活用して引き続き高関税を課せるよう準備を進める構えです。連邦最高裁の判決は、政権がこれまで法的根拠としてきた国際緊急経済権限法について、大統領に関税発動の権限を認めていないとの判断を示しました。
これにより、政権の看板政策が法的根拠を失った形となりましたが、トランプ大統領は一般教書演説で連邦最高裁の判決を「非常に残念だ」と述べた上で、「ほぼ全ての国と企業が関税合意を維持したがっている」と主張しました。しかし、これまでの措置については、既に米国内外の複数企業が関税の返還を求めて提訴しており、政権の対応は独り善がりで暴走と批判されています。
国際社会と企業への影響
高関税に加えて、税率引き上げの時期や今後の措置の行方が流動的なことが懸念材料となっています。世界最大の市場を抱える米国の通商政策の方向性が見えないことは、企業にとって大きなリスクとなります。国際社会にとっても、米国にとっても利益につながらない状況が続いています。
新たな関税措置の発動により、昨年の日米交渉で合意した税率に上限を設ける特例措置が適用されない見通しとなっています。これにより、10%の上乗せで相互関税適用時から関税が上がる輸出品が発生し、貿易摩擦がさらに深刻化する可能性があります。
日本の対応と今後の展望
日本は、関税の税率を抑えるための交渉で総額5500億ドル(約85兆円)の対米投資を約束しました。その第1弾として、ガス火力発電など3事業に対して計360億ドル規模の投資を実施することが決まったばかりです。しかし、この投資の約束は、相互関税が法にかなったものであることを前提としてなされたものです。
前提が変わった以上、日本は特例措置の継続を担保しながら、投資の約束の見直しも検討すべきです。来月の訪米を予定している高市早苗首相は施政方針演説で、ルールに基づく自由貿易体制の維持・拡大が日本の経済外交の柱であると述べています。首相は米国やトランプ大統領への追従に終始することなく、自由貿易への回帰を促していくことが求められています。



