大阪圏商業地でミナミが首位に、6年ぶりにキタを上回る
国土交通省が17日に発表した公示地価によると、大阪圏の商業地における最高価格が6年ぶりに大阪市の「キタ」から「ミナミ」に移った。この変化は、訪日外国人客の増加を背景に、小売業を中心としたミナミへの出店意欲が高まっていることが主な要因だ。一方、再開発が一巡したキタでは、地価の上昇に一服感がみられる状況となっている。
訪日客増加でミナミの地価が急上昇
ミナミの中心地である心斎橋筋商店街周辺では、地価の上昇が特に顕著だ。中古品流通大手のコメ兵は昨年6月、心斎橋筋商店街に旗艦店を出店し、訪日客を主なターゲットとして販売を好調に伸ばしている。同社の広報担当者は、「賃料は高いものの、コスト以上の価値が得られている」と明かす。
心斎橋一帯では、訪日客に人気のカプセルトイ店やドラッグストアなどの小売店の開業が相次いでいる。不動産サービスのCBREによると、心斎橋中心部の店舗空室率は2024年以降、0%の状態が続き、ほぼ空きがないという。この旺盛な出店意欲が地価を押し上げ、例えば「デカ戎橋ビル」は1平方メートルあたり2500万円で最高価格となり、「新世界串カツいっとく道頓堀戎橋店」は25.0%の上昇率でトップを記録した。
足元では、日中関係の悪化に伴い中国人観光客が減少しているが、CBREの魚見修平氏は「米国や豪州の訪日客が増加し、中国人客の減少をカバーしているため、大きな影響はみられない。訪日客は中長期的に増える見通しで、ミナミへの出店意欲も当面は旺盛だろう」と指摘する。
再開発一段落でキタの地価伸びが鈍化
一方、キタでは地価の伸びが鈍化している。昨年まで5年連続で最高価格だった「グランフロント大阪南館」の上昇率は1.6%にとどまり、価格は2470万円だった。キタは近年、再開発ラッシュに沸いたが、2024年に「JPタワー大阪」「イノゲート大阪」、2025年に「グラングリーン大阪南館」と大型オフィスビルが相次いで完成し、再開発が一段落したことで地価の伸びも緩やかになったとみられる。
オフィス仲介の三鬼商事によると、今年2月時点の梅田地区のオフィス空室率は2.72%で、需要と供給が均衡する目安とされる5%を大きく下回っている。需要は根強く、賃料の上昇局面が続く見通しで、地価も「緩やかな上昇が続く」と国土交通省の担当鑑定官は述べている。
京都駅周辺でも地価上昇が目立つ
大阪圏の商業地では、JR京都駅周辺の伸びも顕著だ。訪日客の増加を見据え、駅周辺の再開発が進んでいることが地価の上昇を後押ししている。上昇率上位2~4位は京都駅南側の京都市南区東九条の地点で、2024年3月には米ヒルトンの高級ホテルがオープンし、今秋には米マリオット・インターナショナル系列のホテル開業も予定されている。
駅北側の下京区も10.2%上昇し、日本郵便などが京都中央郵便局を高さ約60メートルの複合ビルに建て替える計画を進めている。しかし、建設費の高騰により再開発計画の見直しを迫られている地域もあり、JR札幌駅前やJR名古屋駅前では計画が先送りされ、地価上昇率が鈍化している。



