名古屋市で55年前に開催された卓球世界選手権を契機に、米中両国の緊張緩和に貢献した「ピンポン外交」の精神を後世に伝えるため、愛知県はIGアリーナ(名古屋市北区)に新たな記念モニュメントを設置することを決定した。
モニュメント移設の背景
現在、愛知県体育館(名古屋市中区)にある記念モニュメントは、同体育館が来年1月に取り壊される予定であるため、移設が必要となった。県はこの機会に、ピンポン外交の象徴であるモニュメントをIGアリーナに再現し、友好と平和のメッセージを引き継ぐ方針だ。
モニュメントの概要
モニュメントは2015年に県体育館の正面玄関脇に設置された。縦約3メートル、横約7メートルの陶板には、日米中3カ国の国旗や「平和」「友好」などの文字が刻まれている。技術的な理由からそのままの移設は難しいため、今冬にIGアリーナ敷地内で同様のデザインで再現される予定だ。
専門家の期待
東海日中関係学会の川村範行会長は、「名古屋を舞台に世界の外交が動いた歴史の足跡であり、モニュメントが引き継がれることは大変喜ばしい」と評価。現在の国際社会では再び対立が深まっており、14日の米中首脳会談ではイラン情勢も議題になるとみられる。川村氏は「両国にはピンポン外交の時のように、大局的な判断を期待したい」と述べた。
アジア・アジアパラ大会への影響
県内では9月から10月にかけて、アジア・アジアパラ大会(愛知・名古屋大会)が開催され、中東地域を含む45の国と地域が参加予定だ。大会組織委員会の関係者は、米中の対話が「イラン情勢などの緊張緩和につながってほしい」と期待を寄せる。約4カ月後に迫った大会に向け、「全ての国と地域が愛知・名古屋に集い、絆を深める大会になれば」と願いを語った。
ピンポン外交の歴史
ピンポン外交は、1971年(昭和46年)春に県体育館で開催された卓球世界選手権に端を発する。政治的に敵対していた米国と中国の選手が偶然同じバスに乗り合わせ、交流したことがきっかけで、両国選手団の相互訪問などのスポーツ外交が進展。翌年のニクソン大統領の訪中や、日中国交正常化につながる歴史的な出来事となった。



