国際労働機関(ILO)は18日、中東地域の危機を受けて原油価格が高騰し、サプライチェーン(供給網)に混乱が生じた結果、世界中で雇用や労働環境が深刻な悪化に見舞われる可能性が高まっていると警告する報告書を公表した。この報告書では、地域ごとの影響分析も行われており、特に湾岸諸国に加えて、エネルギー輸入への依存度が極めて高いアジア太平洋地域が大きな打撃を受けると予測されている。
原油価格上昇の仮定と試算
報告書は、中東危機発生前の今年1月から2月までの平均原油価格と比較して、約50%高い水準が数カ月間継続するという仮定を置いている。このシナリオに基づくと、世界の総労働時間は2026年に0.5%、2027年には1.1%減少すると分析された。さらに、フルタイム雇用に換算した場合、2026年には1400万人分、2027年には3800万人分の労働量が失われる計算となるとしている。
地域別の影響
地域別に見ると、中東危機の直接的な影響を受ける湾岸諸国に加え、エネルギーの大半を輸入に頼るアジア太平洋地域の脆弱性が浮き彫りになった。これらの地域では、原油価格の上昇が生産コストや物流費を押し上げ、雇用の減少や賃金の低下につながる恐れがある。ILOは、各国政府に対し、雇用維持のための対策や社会的セーフティーネットの強化を急ぐよう呼びかけている。
今後の見通し
報告書はまた、中東情勢のさらなる悪化が世界経済に与えるリスクを強調しており、国際社会の協調した対応が不可欠だと指摘している。特に、エネルギー価格の高騰が長引けば、インフレ圧力の増大や景気後退を招き、雇用回復の遅れにつながると警告している。ILOは、持続可能な雇用創出と労働環境の改善に向けた政策提言を今後も行っていく方針だ。



