ロシアの侵攻を受けるウクライナは、軍の待遇改善に本格的に乗り出した。最前線で戦う歩兵に対して、月額で最大40万フリブニャ(約140万円)を支給する破格の待遇を導入したのだ。この措置は、東部ドンバス地域(ドネツク州、ルハンスク州)で続く持久戦により歩兵の損失が深刻化する中、人員不足を解消することを目的としている。
背景と目的
ウクライナ軍は、交代や補充の制度を厳格化し、任務の長期化を是正する方針も示している。これまで前線の部隊は、3~6カ月に及ぶ長期任務が常態化しており、兵士の負担が大きかった。今回の待遇改善は、こうした状況を改善し、志願兵の確保につなげる狙いがある。
現場の声
南部ザポリージャ州で歩兵部隊を率いるオレクシー・ミハイロフ陸軍大尉(37歳)は、「約1年ぶりに家に帰ったときは、家族と抱き合って泣いた」と語る。彼は343日間にわたって前線にとどまり続けた功績により、5月にゼレンスキー大統領から勲章を授与された。
ミハイロフ氏は、前線の部隊は1カ月の戦闘任務の後、1カ月の休息を取るのが理想的だと話す。しかし、交代要員が確保できない現状では、3~6カ月の長期任務が常態化しているという。シルスキー軍総司令官は4月、前線配置を最長2カ月とする方針を表明したが、ミハイロフ氏は「今の兵員数では不可能だ」と実現性を疑問視している。
今後の見通し
ウクライナ軍は、今回の待遇改善により、志願兵の増加と前線の負担軽減を目指している。しかし、戦況が長期化する中で、人員確保は依然として課題であり、今後の動向が注目される。



