SNS大手8社、投稿削除専門員を法令上最少の1人配置 対応の迅速性に懸念
情報流通プラットフォーム対処法(情プラ法)の指定を受けた交流サイト(SNS)運営事業者9社のうち、実に8社が各サービスにおいて投稿削除に関する専門的な調査を担当する「侵害情報調査専門員」を、法令で定められた最少人数である1人に限定している実態が明らかになった。この中には権利侵害に関する被害の訴えが特に多いX(旧ツイッター)や米メタといったグローバル企業も含まれており、膨大な削除要請への迅速な対応が可能かどうかについて、専門家からは深刻な疑問が投げかけられている。
専門員配置の実態と法的義務
共同通信が総務省に情報公開請求を行い、昨年11月末時点の届出資料を確認したところ、指定9社のうち8社が専門員を1人しか配置していないことが判明した。情プラ法は、被害者からの削除要請に対して投稿内容が権利侵害に該当するかどうかを調査することを事業者に義務付けており、日本の法令や社会問題に精通した専門員をサービスごとに1人以上置くことを明確に規定している。
専門員は通常、外部の弁護士などが担当し、通常の担当者や人工知能(AI)では判断が難しい複雑な事案に対処する役割を担う。指定を受けた9社のサービスは全て、月間の平均利用者が1千万人を超えるという厳しい条件を満たしており、それに伴って想定される削除対応の量も膨大な規模に及ぶ。
専門家からは「誠実な対応とは評価しにくい」との指摘
有識者からは、このような最小限の人員配置では迅速かつ適切な対応が困難であるとして、「対応が誠実だとは評価しにくい」との厳しい意見が相次いでいる。権利侵害の被害者は迅速な救済を求めており、専門員が1人だけでは処理が追いつかず、被害の拡大を招く恐れがある。
特にXやメタのような大規模プラットフォームでは、日々大量の投稿が行われており、権利侵害の申し立ても頻繁に発生している。専門員が1人では調査に時間がかかり、被害者保護の観点から問題があると指摘されている。
今後の課題と改善への期待
情プラ法の目的は、インターネット上の権利侵害から利用者を保護し、健全な情報流通を促進することにある。しかし、現状の人員配置ではこの目的を十分に達成できているとは言い難い。事業者側には、法令の最低基準を満たすだけでなく、実際の利用者数や申し立ての量を考慮した適切な人員配置が求められる。
今後の課題として、以下の点が挙げられる:
- 専門員の増員による調査能力の向上
- AI技術を活用した一次審査の効率化
- 透明性のある対応プロセスの確立
利用者保護と事業者の負担のバランスを取りながら、より効果的な対策が講じられることが期待されている。



