三菱ガス化学がポリカーボネートの国内生産を終了へ 2028年3月を目途に戦略転換
三菱ガス化学は3月31日、自動車のヘッドライトやCD・DVDディスク、スーツケースなどに広く使用される高性能樹脂「ポリカーボネート」の国内生産を、2028年3月をめどに終了すると正式に発表しました。この決定は、世界的な市況悪化と供給過剰が続く中、事業の採算性改善が見込めないと判断したことに基づいています。
生産拠点を海外に移管 中国・タイから輸入へ
国内生産終了後は、同社が中国やタイに保有するグループ生産拠点からポリカーボネートを輸入し、国内顧客への供給を継続する方針です。これにより、サプライチェーンの効率化とコスト削減を図るとしています。現在、ポリカーボネートは茨城県神栖市の鹿島工場で製造されていますが、同工場では過酸化水素など他の化学品の生産は継続される見込みです。
市況悪化と中国メーカーの台頭が背景
ポリカーボネート市場では近年、中国メーカーによる生産能力の大幅な強化が進み、世界的に需要に対して供給が過剰となる状況が続いていました。さらに中国経済の減速傾向も加わり、価格競争が激化。三菱ガス化学では鹿島工場におけるポリカーボネート事業が不採算状態に陥り、今後も改善の見通しが立たないと判断しました。
従業員への影響については、配置転換などを通じて雇用を維持する方針を明確にしており、人員削減は行わない見込みです。同社は「グループ全体の経営資源を最適化し、持続可能な事業構造へ転換を図る」と説明しています。
化学品業界全体に広がる構造変化
この決定は、中東情勢の緊迫化に伴う原油価格高騰や、化学品全般に値上げの波が広がる中で行われました。食品容器や医療用点滴袋、建材など多様な製品の原材料となる化学品市場では、供給網の再編が活発化しています。三菱ガス化学の戦略転換は、こうした業界全体の構造変化の一端を映し出す事例と言えるでしょう。
ポリカーボネートはその優れた耐衝撃性と透明性から、自動車部品をはじめとする高度な工業用途で不可欠な材料となっていますが、国内生産の終了は日本の化学産業における一つの転換点を意味します。



