スニーカー市場が拡大を続ける背景 震災とコロナ禍で「履きやすさ」が重視される時代に
スニーカー市場拡大 震災とコロナ禍で履きやすさ重視の時代

スニーカー市場が拡大を続ける背景 震災とコロナ禍で「履きやすさ」が重視される時代に

3月15日は「靴の記念日」として知られている。1870年(明治3年)のこの日、日本で初めて西洋式靴工場が東京都中央区入船に開業したことに由来する。現在、革靴やパンプスの市場規模が縮小傾向にある一方で、スニーカー需要は着実に伸び続けている。

矢野経済研究所の調査によると、スニーカーを含むスポーツシューズの市場規模は、2020年度に5735億円だったが、毎年0.5%から14%程度の拡大を重ね、2026年度には7320億円規模に達する見込みだ。この成長は、近年の社会変化と深く結びついている。

東日本大震災が転換点に 「履きやすさ」への意識変化

スニーカー人気は以前から定着していたが、市場拡大の契機として専門家が口をそろえて挙げるのは、2011年の東日本大震災だ。震災発生時、首都圏では帰宅困難者が溢れ、通勤時の革靴やハイヒール、ブーツで長距離を歩く人々の姿がニュースで報じられた。

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「あの日を境に、消費者の需要も、各メーカーの意識も、『履きやすさ重視』へと大きく変わっていった」と語るのは、当時都内の百貨店で靴ブランドの店長を務め、現在は足と靴と健康協議会(FHA)の木村克敏事務局長だ。震災を経験したことで、日常における快適さと実用性が再評価されるようになった。

コロナ禍が加速させたファッションの変化

さらに、2020年以降のコロナ禍も、スニーカー需要の拡大に大きな影響を与えた。ファッションジャーナリストの宮田理江さんは、「人と会う機会が減り、近所への移動時には楽な靴として、多くの人がスニーカーを選ぶようになった」と指摘する。一度、快適な履き心地を経験すると、元の靴に戻るのは難しく、コロナ禍以降も楽な靴を求める人は増加傾向にある。

在宅ワークの増加も、ビジネスシーンの服装を見直すきっかけとなった。FHAの木村さんは、「仕事でも服装のカジュアル化が進み、制服やパンプスを廃止する企業が現れている」と説明する。これにより、スニーカーがオフィスや日常の場面でより受け入れられるようになった。

機能性とデザインの進化が市場を後押し

現在、スニーカー市場は機能性や履きやすさを重視する時代を謳歌している。ハイブランドがスポーツメーカーとコラボレーションして限定モデルを発表したり、防水機能を備えた商品が増加したりと、歩きやすくて実用的な製品が次々と登場している。

このような進化は、消費者が求める多様なニーズに応える形で、市場の拡大を支えている。スニーカーはもはや、スポーツやカジュアルな場面だけでなく、ビジネスやファッションの一部としても定着しつつある。

今後も、社会の変化や技術革新に合わせて、スニーカー市場はさらなる成長を続けることが期待される。履きやすさと機能性を兼ね備えた商品の開発が、このトレンドを後押ししていくことだろう。

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